研究課題
近年、世界的に近視が急増している。中でも、強度な近視の5~10%程度は脈絡膜新生血管や眼球変形により網脈絡膜萎縮を引き起こし失明に至るため、本邦の視 覚障害原因の4位、視力のみで評価した場合には失明原因の1位となっている。強度近視からの失明には遺伝的素因も大きいことが指摘されているが、その機序は特定されていない。申請者は2017年度から2020年度の基盤研究Bで日本人における近視の疫学を明らかにし、最強度近視は通常の強度近視より遺伝的素因が大きい 可能性や、近視発症の機序に機械的張力理論が関与している可能性を指摘した(Ophthalmology, 2020)。本研究課題では、これらの研究を更に進展・統合し、近視の機序・病態解明を更に進めた。 2023年度は上記の研究の一段の進展がみられた。合計で274例の最強度近視症例について全ゲノム解析と、長浜スタディの数千名の全ゲノム解析結果とのjoint callを終えて、解析作業をすすめ、最強度近視に関連するrare variantを複数同定した。また、常染色体顕性の最強度近視家系の長鎖シーケンスからは、比較的大きな領域の重複が同定されている。これらについてゼブラフィッシュでの検討を進めている。強度近視症例のゲノムワイド関連解析もすすめており、横浜市立大学のデータとのメタ解析を終えて、東北メディカルメガバンクでの再現性確認を行い、学会発表を経て論文作成中である。 近視の疫学についてもこれまでに存在しなかったデータが得られており、学会発表を経て論文投稿中である。今後より一層の研究の進展が期待される。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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