研究課題
マウス頭蓋冠欠損モデルを用いて、bone morphogenetic protein 2(BMP2)にfibroblast growth factor 18 (FGF18)を追加した際の骨修復の安定性のメカニズムを検討した。修復が開始する時期の組織において、抗炎症性サイトカインの発現とともに組織修復性のタイプ2マクロファージの浸潤が認められた。骨髄細胞を分離してFGF18を作用させるとタイプ2マクロファージへの極性化が亢進した。この作用が、FGF18がマクロファージに直接作用するのではなく、骨髄間質細胞を介したものであることを示した。FGF18を骨髄間質細胞に作用させた際に発現が上昇する分子を解析し、この分子の中和抗体の存在下でFGF18を作用させた骨髄細胞培養ではタイプ2マクロファージへの極性化の亢進が抑制された。これから、BMP2による骨修復誘導の際にFGF18を追加することで、組織修復性のタイプ2マクロファージの極性化が活性化して骨修復の安定化が起きる可能性が示唆された。マクロファージの前駆細胞である単球を培養してマクロファージへの分化を検討では、ポリロタキサンの分子可動性の変化は大きく影響せず、マクロファージの分化や極性化にはメカノシグナルの関与はほぼないと考えられた。
2: おおむね順調に進展している
頭蓋冠修復過程における免疫反応の重要さについての関連を示唆することができており、今後、頭蓋冠幹細胞の細胞動態との関連についての検討が必要である。若干当初の計画から派生した部分での研究が進んだと考える。
現時点で、頭蓋冠幹細胞の骨修復が安定する場合の動態などを検討する系ができておらず、これを早急に進める予定である。また、ポリロタキサンの分子可動性は、マクロファージ分化や極性化に影響を与えないことが明らかとなったが、骨修復が起きる場となる硬膜の性質について明らかにする。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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