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2021 年度 実績報告書

高静水圧処理を応用した皮膚、骨、神経の再生~自家腫瘍組織の再生医療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21H03099
研究機関京都大学

研究代表者

森本 尚樹  京都大学, 医学研究科, 教授 (40378641)

研究分担者 仲野 孝史  京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (50892634)
山中 浩気  京都大学, 医学研究科, 助教 (70760833)
片山 泰博  京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80842434)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード高静水圧処理 / 再利用 / 自家腫瘍組織 / 殺細胞処理
研究実績の概要

外傷や腫瘍切除後の組織欠損の再建材料として、人工骨、人工神経、人工真皮などの人工材料が製品化されたが、自家組織移植以上の成績は得られていない。申請者らは高静水圧処理(以下高圧処理)を皮膚再生に応用し、200MPaで10分間処理すれば、真皮マトリックス構造を損傷せず、皮膚に含まれる全細胞を死滅処理できることを発見し、皮膚再生分野で臨床応用を行ってきた。本研究では、高圧処理皮膚の生着率向上を検討すると共に、高圧処理を骨及び神経へ適用拡大し、腫瘍再建外科手術の有望な新規治療方法とするための基礎検討を行うことを目的としている。
まず、皮膚再生での高圧処理皮膚の生着率向上のため、先行マウス実験で確認された壊死皮膚(200MPa、10分処理)、アポトーシス皮膚(50MPa、36時間)をクラウンミニブタ皮膚で作成した。壊死、及びアポトーシスが起こっていることをまず確認したが、アポトーシス条件での完全な細胞死が確認できなかった。このため、本検討は実施できなかった。
高圧処理の骨への応用検討では、1.正常骨の高圧処理による不活化、2.残存細胞成長因子仮性評価、3.骨悪性腫瘍モデルでの高圧処理の有効性の確認、を実施した。1.について、Wisterラット頭蓋骨及び大腿骨を採取、壊死条件(200MPa、10分処)での不活化は、explant培養及びWST-8アッセイを行い確認できたが、2.の細胞成長因子が予定していたELISA法では検出されず、未実施である。3.骨悪性腫瘍モデルとして、骨肉腫細胞株(LM8)を用いた、不活化試験、骨腫瘍モデル作成を行い、200MPa、10分の高圧処理により腫瘍細胞が壊死すること,ヌードマウスに作成した骨肉腫も消退することが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

先行マウス実験で確認された壊死条件(200MPa、10分処理)でクラウンミニブタ皮膚が不活化されたが、アポトーシス条件(50MPa、36時間)では完全に不活化できなかった。これは元々長時間処理であり、組織の小さいマウス皮膚では組織が大きいブタ皮膚よりも容易にアポトーシスが誘導されやすかったと考えられる。この検討をこれ以上実施しても得られる成果は少ないため、追加実施はしなかった。高圧処理装置を作製している企業の協力も得られず、アポトーシス条件(50MPa、36時間)での処理が実施できなくなったことも影響している。
また、骨への高圧処理の応用については、壊死条件(200MPa、10分処理)での健常骨の不活化、骨肉腫モデルでの不活化が確認できた。この点は順調に進展したが、この条件での細胞成長因子活性評価が未実施であるところが研究に遅れがでている点である。これは、骨に含まれる細胞成長因子がごく微量であるためであり、細胞成長因子を直接計測できなくても細胞増殖活性を評価できるin vitroの評価系を構築する予定である。

今後の研究の推進方策

骨への高圧処理の応用については、細胞成長因子を直接計測できなくても細胞増殖活性を評価できるin vitroの評価系を構築している。骨分化能をもつ株細胞(MC3T3-E1細胞)を用いて、骨分化評価できる系を構築し、壊死条件(200MPa、10分処理)で処理した骨もしくは骨髄の骨分化能の活性を評価する予定である。
また、骨については、殺細胞処理の比較条件として高静水圧処理(200MPa、10分)、高温処理(80度、30分)、凍結処置(-196度、20分)の3条件で処理した骨の再移植実験をラットで実施しており、植は終了している。今後は移植12週までの組織採取、CTによる化骨形成評価を実施する予定である。
神経への応用について、ラット座骨神経を用いて、高静水圧処理(200MPa、10分)自家細胞、自家脱細胞化神経、人工材料(市販人工神経)、による再生比較を実施する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Development of a novel regenerative therapy for malignant bone tumors using an autograft containing tumor inactivated by high hydrostatic pressurization (HHP)2023

    • 著者名/発表者名
      Li Y, Katayama Y, Nie I, Nakano T, Sawaragi E, Sakamoto M, Yamanaka H, Tsuge I, Demura S, Yamada Y, Tsuchiya H, Morimoto N
    • 雑誌名

      Regen Ther

      巻: 2 ページ: 224-231

    • DOI

      10.1016/j.reth.2023.02.002

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Novel Treatment for Giant Congenital Melanocytic Nevi Combining Inactivated Autologous Nevus Tissue by High Hydrostatic Pressure and a Cultured Epidermal Autograft: First-in-Human, Open, Prospective Clinical Trial.2021

    • 著者名/発表者名
      Morimoto N, Mitsui T, Sakamoto M, Mahara A, Yoshimura K, Arata J, Jinno C, Kakudo N, Kusumoto K, Yamaoka T.
    • 雑誌名

      Plast Reconstr Surg

      巻: 148 ページ: 71e-76e

    • DOI

      10.1097/PRS.0000000000008084.

    • 査読あり
  • [学会発表] 皮膚全層再建の取り組み2022

    • 著者名/発表者名
      森本尚樹
    • 学会等名
      第21回日本再生医療学会
  • [学会発表] 高圧殺細胞装置の開発2022

    • 著者名/発表者名
      森本尚樹
    • 学会等名
      第31回日本形成外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 4.Cultured epithelial autografts for the treatment of giant congenital melanocytic nevus2021

    • 著者名/発表者名
      Naoki Morimoto
    • 学会等名
      The 6th Asian Congress of Dermatologic Surgery
    • 国際学会
  • [学会発表] 高圧処理母斑組織を用いた皮膚再生2021

    • 著者名/発表者名
      森本尚樹
    • 学会等名
      第36回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [産業財産権] 密閉容器2023

    • 発明者名
      森本尚樹、国立循環器病研究センター、阪神化成工業株式会社.
    • 権利者名
      森本尚樹、国立循環器病研究センター、阪神化成工業株式会社.
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-030575

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公開日: 2023-12-25  

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