研究課題
令和5年度は、副甲状腺ホルモン(PTH)による皮質骨多孔化のメカニズム解明を中心に解析を進めた。Gli1陽性細胞の系譜解析が可能なGli1-CreErt2:Rosa26-tdTomatoマウスにPTHを投与し、長管骨におけるGli1/tdtomato陽性細胞の局在を投与後2日、7日、14日と経時的に観察した結果、皮質骨の骨芽細胞や血管内皮細胞、血管平滑筋細胞は、Gli1/tdtomato陽性反応を示さなかった、従って、これらの細胞はGli1発現間葉系細胞に由来せず、その他の間葉系細胞から分化する可能性が示唆された。次に、PTH投与後に、endomucin陽性骨特異的血管が破骨細胞とともに骨基質内に侵入する機序について、骨細胞と骨特異的血管の協働作用の可能性を検索した。その結果、PTH投与により皮質骨内膜側にαSMA/VCAM1/RANKL陽性骨芽細胞層が肥厚し、これを足掛かりとして骨特異的血管とTRAP/PDGFbb陽性破骨細胞が皮質骨表面に移動する可能性が推測された。さらに、PTH投与マウスの皮質骨では、骨細胞由来の血管新生因子であるDkk1ならびにDkk1受容体であるCkap4,DKK1-Ckap4シグナルの下流で活性化する血管新生因子PLVAPの遺伝子発現が上昇していた。また、多数の骨細胞がDkk1陽性反応を示す一方、皮質骨表面や内部に侵入する血管がPLVAP陽性反応を示していたことから、PTH投与群では、骨細胞由来のDkk1が血管内皮細胞に作用して血管新生を誘導する可能性が推察された。以上から、PTHによる皮質骨多孔化は、ALP/αSMA/VCAM1陽性骨芽細胞層に局在するendomucin陽性血管がPDGFbb陽性破骨細胞を伴い皮質骨表面へ移動するとともに、Dkk1などの骨細胞由来の血管新生因子の関与により、血管内部へと侵入することで進展する可能性が示唆された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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