研究課題/領域番号 |
21H03104
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚崎 雅之 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (20829527)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨免疫 / 骨代謝 / 破骨細胞 / 骨格幹細胞 |
研究実績の概要 |
骨組織は、解剖学的局在の異なる「骨格幹細胞」がそれぞれ局所的に骨芽細胞を供給することで形成される。しかしながら、骨格幹細胞の骨形成制御メカニズムは未だ十分に理解されていない。また骨組織の維持および破壊においては、造血系細胞である「破骨細胞」が中心的な役割を演じるが、破骨細胞の分化機構の全貌は未だ不明である。 申請者は最近、骨膜幹細胞を特異的に欠損するユニークなマウスモデルを樹立し、当該マウスでは膜性骨化のみならず内軟骨性骨化も著しく障害されることを見出した。そこで骨膜幹細胞が可溶型因子を産生することで内軟骨性骨化を制御するという仮説を立て、骨膜幹細胞に高発現する可溶型因子を探索し、Bpf (bone/periosteum-secreted factor)を同定した。Bpfのコンディショナルノックアウトマウスの表現型解析から、骨膜幹細胞の産生するBpfは成長版軟骨に存在する骨格幹細胞の維持に必須であること、すなわち解剖学的局在の異なる幹細胞同士のクロストークの存在を見出し、現在論文リバイス中である。 また申請者は近年、破骨細胞分化誘導系の時系列に沿ってsingle cell RNA-seq (scRNA-seq) を行い、機械学習アルゴリズムを用いた擬似時間(pseudotime)解析を行うことで、破骨細胞分化は多段階の分化ステップに分類でき、各ステージで分化経過が遺伝子レベルで精密に制御を受けていることを見出した。昨年度は、シングルセル解析のデータから、破骨細胞の最終分化ステージで発現が上昇する機能未知の遺伝子(OTF1)を同定した。OTF1のノックアウトマウスを作成したところ胎生致死であり、当該マウスから回収したfetal liverを用いて破骨細胞分化実験をおこなったところ、破骨細胞の融合が著名に阻害されていることを見出した。現在、 OTF1のfloxマウスとflagマウスの作成を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨形成の新規メカニズムに関して論文を投稿し、現在リバイス中である。また、破骨細胞制御に関わる新規因子を同定し、ノックアウトマウスの解析から当該因子が破骨細胞融合に必須である可能性を見出している。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本計画では、骨の形成・維持・破壊に関わる細胞群の中でも、特に骨格幹細胞と破骨細胞に関して注目し研究を進めている。昨年度に同定した破骨細胞の新規制御因子OTF1は、zinc fingerドメインを持つものの論文報告が全くない新規遺伝子であり、その機能は謎に包まれている。公共データベースを用いたシングルセル解析の結果では、OTF1は破骨細胞のみならずミクログリアなど様々な組織マクロファージで高発現する可能性が示唆されている。OTF1のノックアウトマウスは胎生致死であることからも、OTF1は破骨細胞以外の細胞でも重要な機能を持つと考えられる。今後、OTF1のfloxマウスを様々なCreマウスと交配することで、OTF1の生体制御機構を明らかにすると同時に、flagマウスを用いたChIP解析により、転写因子としての機能を持つか否か検証する予定である。
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