口腔内感染症の一つである歯周病は、うつ病などの精神疾患との関連性が報告されているが、その病態生理学的な発症機序を示す報告がほとんどない。申請者は、歯周病患者が一過性に菌血症を発症することに着目し、グラム陰性嫌気性菌であるPoryphromonas gingivalis菌(Pg菌)を尾静脈かた投与した菌血症モデルマウスを作製して脳内の解析を行ってきた。 最終年度は、視床下部での炎症や神経細胞の活性化が起きる部位を免疫組織染色法を用いて明らかにし、炎症の開始点と考えられる場所を見出した他、血管のバリア機能の破綻を可視化した。さらに、炎症の原因を特定するべくスクリーニング解析を行い、いくつかの炎症性シグナリングが関与することを突き止めた。見出した炎症性シグナリングの阻害剤を投与すると、マウスのうつ様行動は軽減することまでは明らかにできた。一方、菌血症モデルマウスのストレスの評価はまだ不十分であり、引き続き解析を行っていく必要があると考える。
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