研究課題/領域番号 |
21H03118
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60452447)
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研究分担者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (10243247)
岩山 智明 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80757865)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 / 脂肪組織由来多系統前駆細胞 / efferocytosis / LAP |
研究実績の概要 |
本研究課題では、幹細胞移植による歯周組織再生療法において、アポトーシス細胞貪食機能であるefferocytosisとLC-3-associated phagocytosisという組織恒常性維持機構を「能動的再生誘導因子」として捉えることで、同療法による組織再生過程の全貌を組織リモデリングの観点から解明し、その有効性を格段に向上させることを目的として研究を遂行している。2021年度は、ラット皮下脂肪から脂肪組織由来多系統前駆細胞(ADMPC)を単離し、表面抗原の発現解析によって同方法を検証した。そして、ラット歯周組織欠損に対する同種ADMPC移植による歯周組織再生効果について、マイクロCTによる新生歯槽骨の定量評価および組織学的解析によって明らかにした。また、GFPラット由来ADMPCを歯周組織欠損部に同種移植し、移植2週間の各タイムポイントにて顎骨を採取し、組織透明化とライトシート顕微鏡による観察結果から、移植したADMPCが被移植部位において移植後10日程度まで生細胞として検出可能であることが明らかとなった。一方でTUNNEL染色の結果から、移植1-3日後には被移植部位に多くのアポトーシス細胞が検出され、その数は時間経過とともに減少し、7日目には周囲組織と同程度のTUNNEL陽性率となることが明らかとなった。また、TUNNEL陽性細胞の周囲にはマクロファージ様の細胞が観察された。 一方で、in vitroの実験系において、ADMPCのアポトーシス誘導条件を検討するとともに、貪食細胞との共培養後におけるefferocytosisの検出系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に予定された、ラット歯周組織欠損モデルを用いたADMPC移植による組織再生効果の確認とアポトーシス細胞の検出は予定通り実施した。また、組織透明化とライトシート顕微鏡による3Dイメージング解析も予定通り実施し、移植細胞の被移植部位における動態の一部を解明した。さらにin vitroでのefferocytosisの検出も順調に進んでおり、2022年度の研究開始に支障はない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に得られた研究成果を基に、研究目的達成に向け、さらに発展させる。すなわち、ラットを用いたin vivoの実験系では、組織学的解析を進めefferocytosisの実行細胞を同定する。そして得られた情報をもとに、in vitroでの再現、および活性化条件を検討する。また、efferocytosis実行細胞が歯周組織構成細胞の細胞機能へ及ぼす影響について明らかにする。
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