研究課題/領域番号 |
21H03121
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60374948)
|
研究分担者 |
濱井 瞭 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00824004)
塩飽 由香利 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80736190)
森 優 東北大学, 大学病院, 講師 (70634541)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 骨再生 / 骨補填材 / 力学的性質 |
研究実績の概要 |
2021年度は,研究開始年度として,gelatin(Gel)分子の線維化促進機能分子による線維化の検討へ向け,Gel線維化度を定量的数値として確認するため,旋光計を導入して,その試運転とデータ取得を行った.解析データより,Gel分子の基本的な旋光度情報を得た.一方,線維化Gelに結合させる生体由来分子上のリン酸八カルシウム(OCP)の結晶成長の検討への着手として,非線維化Gelを含み,カルシウムおよびリン酸のイオンの水溶液をハイドロキシアパタイト(HA)およびOCPに関して過飽和となるように調節して,OCPの結晶成長と有機-無機の間の相互作用を調べた.パラメータは水溶液中に共存するGelの濃度とし,低濃度から高濃度の範囲内でOCP結晶を析出させた.結晶/Gelを回収した後,X線回折法,フーリエ変換赤外分光法,透過型電子顕微鏡観察,高分解能透過型電子顕微鏡観察を用いた機器分析により結晶性状を解析して,有機-無機相互作用について検討した.これらの分析からリン酸カルシウムの結晶相を同定できた.以上の結果より,有機-無機相互作用の可能性が示唆され,線維化Gelに結合させる生体由来分子上のOCPの結晶成長の可能性が示唆された.本年度の成果をもとに次年度から,Gel分子の線維化,線維化促進機能分子との相互作用,OCP結晶成長の検討に入る.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
旋光計の設備設置までに若干の時間を要したことから,その間はメーカーのデモ機にて基質材料タンパク質の旋光度データを集積した.データ解釈を継続中である.
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度以降に,比旋光度を指標として,Gel分子構造における温度依存性の影響を定量的に関連づける.昨年度に検討して選定した線維化促進機能分子を用いて,Gel分子の線維化を試みる.一方,線維化Gelに結合させる生体由来分子上で,OCPの結晶成長を促進する検討に関し,Gel分子の加熱による構造変化だけでなく,OCP/Gel複合体中の結晶水を有するOCPの構造変化が誘導される可能性がある.そこで,Gel分子とOCPが安定して共存し得る加熱条件を探索する.次に,Gel基質側においては熱架橋による加熱温度の影響に加え,生体親和性が高いとされる分子を含むいくつかの種類の架橋剤を用いた化学架橋も検討し,OCP/Gelの力学的性質について研究する.生体材料学の観点で,石灰化した成分側と基質側の物性と構造を明らかにして関連づける.以上の検討を通じ,線維化したGelによるOCP/Gel複合体の作製に着手し,骨芽細胞様細胞を用いた生体親和性を評価する.材料の構造学的な条件に加え,力学的性質も解析し細胞親和性を関連づける.またこれらの情報を材料の作製へ常時フィードバックして材料の物性改変へ反映する.以上の検討から最終的に動物実験による骨欠損への融合を確認するための材料開発における設計指針の確立を行う.
|