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2021 年度 実績報告書

UVA照射による光生物学的反応を利用した局所的骨形成促進の作用機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H03126
研究機関東北大学

研究代表者

佐々木 啓一  東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)

研究分担者 菅野 太郎  東北大学, 歯学研究科, 教授 (30302160)
中村 圭祐  東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
天雲 太一  東北大学, 大学病院, 講師 (80451425)
金森 義明  東北大学, 工学研究科, 教授 (10333858)
松浦 寛  東北学院大学, 工学部, 教授 (30612767)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード紫外線 / 骨形成 / 酸化ストレス
研究実績の概要

研究計画に従って、ラット大腿骨から採取した骨髄由来の細胞を用いた試験を実施した(動物実験承認番号:2020DnA-042)。通法に従って細胞を96ウェルプレートで培養し90%コンフルエントになった段階で、LED照射装置(LX-505, OmniCure)を用いて波長365 nmの紫外線A波(UVA)を照射した。照射野が直径6 mmとなるように集光レンズを用い、照度が100 mW/cm2となるように出力30 mWでUVA照射を90秒間行った(9 J/cm2)。照射後の細胞の生存率をWST-1試薬(Roche)を用いて評価したところ、UVA照射による細胞生存率の低下は認められなかった。また、細胞の脂質過酸化の状態をTBARSアッセイキット(ZeptoMetrix)を用いて評価したところ、UVA照射群では対照群(UVA照射なし)よりも高いマロンジアルデヒド(脂質過酸化の指標)を認めた。従って、UVA照射は骨髄由来細胞に対して、細胞毒性は示さないが、軽度の酸化ストレスを与えることが示唆された。
次に動物実験において雄性ラットの大腿骨にUVA照射を行った。大腿骨を透過して骨髄に到達するUVAのエネルギー密度が9 J/cm2(細胞実験と同じ条件)となるように、照射野が直径3 mmとなる集光レンズを用いて出力530 mW(透過率0.7%)で180秒間照射を行った。UVA照射の3週間後に動物をサクリファイスしてマイクロCTで骨梁形成を評価したところ、UVA照射群では対照群(UVA照射なし)に比べて、照射部位直下の骨髄腔で骨梁が形成されていることが分かった。細胞試験と動物実験の結果を併せて考えると、UVA照射による軽度酸化ストレスが、骨髄中に存在する幹細胞あるいは骨芽細胞を刺激することで骨形成が促進されたと考えられる。今後より詳細にUVA照射による酸化ストレスと骨形成の関連性を分析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画していた細胞試験および動物実験を実施することができたためおおむね順調に進展していると判断している。しかしながら、当初の研究計画では雌性ラットを用いて、卵巣摘出により骨粗鬆症を引き起こした状態での動物実験を検討していたが、初年度は雄性ラットを用いてUVA照射による骨梁形成の詳細な分析を実施することとした。雌性ラットを用いた動物実験は次年度以降に実施する。

今後の研究の推進方策

研究計画当初に立てた「UVA照射による軽度酸化ストレスが骨形成を促進する」という仮説の一部を実証することができた。今後はより詳細に、UVA照射による酸化ストレスがどのように骨形成につながるのかといった分子生物学的メカニズムの解明が必要となるため、引き続き細胞実験を行うとともに、動物実験において免疫組織化学染色などを用いた分析を実施する。また、将来的に本技術を医療応用につなげるために骨粗鬆症モデルの動物実験も進める。
研究実施期間中は定期的に研究コンソーシアムでの進捗報告等を実施し、連携を深めることで本研究課題を推進する。

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公開日: 2022-12-28  

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