研究課題
これまでの研究で紫外線A波(UVA)をラット大腿骨に照射すると、照射部位で骨梁形成が認められることがマイクロCT分析を通して明らかとなった。しかしながら、ラット大腿骨のマイクロCT画像の解析は、関心領域(ROI)設定方法や皮質骨と骨梁に分離するセグメンテーション方法の影響を大きく受けるため、正確な分析を実施するためには画像解析方法を確立する必要性が示唆された。そこで、今年度はAmira3D Pro(ThermoFisher Scientific)を用いたラット大腿骨のマイクロCT分析法についての検討を行った。前年度までと同様に、ラットの左右大腿骨をテストとコントロールに分け、テスト側では骨幹部にUVA照射(波長:365 nm、放射照度:7.5 W/cm2)を行い、コントロール側ではUVA照射は行わず偽手術だけを行った。3週間後に 左右大腿骨を採取してマイクロCT分析(Lab Hx-100、Rigaku)を行い、高解像度3次元画像(Voxelサイズ:9 um)を取得した。同一個体のテストとコントロールで同じ部位にROIを設定するために、Resample Transform Imageモジュールを用いて大腿骨の3次元画像の重ね合わせを行った。その後、大腿骨遠位端部とUVA照射部位のROIを設定し、テストとコントロールの同一個所における骨梁の分析を実施した。各ROIにおける骨梁のセグメンテーションにはAmbient Occlusionモジュールを一定の閾値で用いた。さらに、Interactive Top-Hatモジュールによって、細い骨梁部部や狭い骨梁間の空隙分のセグメンテーションを行った。このような3次元画像解析により、従来よりも精密な骨梁解析が可能となり、UVA照射は局所的に骨梁形成を促進するが、同一大腿骨の非照射部位では骨梁の形成に影響を及ぼさないことを確認した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。