研究課題
舌がんは粘膜下の筋層に浸潤すると予後が悪い.そのためがん細胞の筋層浸潤の制御は重要な課題であるが,そのメカニズムには不明な点が多い.舌がんが粘膜下の舌筋に浸潤する際,がん細胞周囲の筋線維に侵害刺激を与え炎症や再生が誘導される.骨格筋種によって発生起源や再生能力,さらには筋ジストロフィーなどに対する疾患感受性などに大きな違いがあることがわかってきている.しかし,骨格筋の炎症や再生の研究は四肢骨格筋を用いたものばかりであり,舌筋の炎症・再生メカニズムはよくわかっていない.そこで申請者らは舌筋再生過程を理解するため,上皮成分を取り除き舌から純度の高い骨格筋組織を抽出する手法を確立した.さらに,これまでにCTXの注射で誘導した舌筋の再生を,これまで多くの研究者によって研究されている前脛骨筋の再生過程と比較検討を行い,舌筋と前脛骨筋では,ホメオボックス遺伝子の発現パターンが大きく異なることを見出した.さらに現在,若齢マウスと高齢マウスの舌筋の治癒過程を単一細胞RNA-seqと組織学的解析により経時的に比較を行っている.また,2015-2020年の間に九州歯科大学において全身麻酔下で手術を行った舌扁平上皮癌cT1-4N0一次症例である52例を対象に,病理組織学的および免疫組織化学的なDKK1ならびにCKAP4の発現についてリンパ節転移との関係について検討した.対象症例のうち潜在的頸部リンパ節転移は4例,頸部リンパ節への後発転移は16例に認められた.これらの頸部リンパ節転移に関係する因子として,病理組織学的に脈管侵襲および神経周囲浸潤が,免疫組織化学的にはDKK1およびCKAP4の高発現が関係している傾向にあった.cT1-4N0舌扁平上皮癌症例における頸部リンパ節転移に係る因子として、DKK1およびCKAP4の共発現の有無が、頸部リンパ節転移の予測因子として活用できる可能性が示唆された.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件)
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