研究課題
う蝕の主要な原因細菌である Streptococcus mutansは、約10~20%の頻度で菌体表層にコラーゲン結合タンパク(Collagen-binding protein; CBP)を発現している。CBP陽性S. mutansは様々な全身疾患に関与することが示されてきているが、その詳細なメカニズムは不明である。本研究では、脳動脈瘤に罹患した患者の唾液検体からCBP陽性S. mutansの検出を行い、疾患との関連性について検討した。また、CBP陽性S. mutansの抑制法の開発を目的として、CBPのコラーゲン結合領域に着目した構造解析を行った。脳動脈瘤患者901名から唾液検体を採取し、PCR法によりCBPをコードする遺伝子を検出した。その結果、CBP陽性S. mutansの陽性率は、直径10 mm以上の脳動脈瘤よりも5 mm未満のすべての脳動脈瘤で有意に高かった(P<0.05)。このことから、CBP陽性S. mutansの検出率は脳動脈瘤の大きさに比例するのではなく、大きくなる前に破裂する脆弱な脳動脈瘤の形成に関わっている可能性が示唆された。CBPのコラーゲン結合能を担うコラーゲン結合ドメイン(CBD)に焦点を当て、エックス線結晶構造解析を行なったところ、CBDはN1、Linker、N2、Latchの4つのドメインから構成されることが明らかとなった。N1、Linker、およびN2は、コラーゲン分子を包み込むリング構造を形成し、LatchはN1と相互作用してリングを留める構造を形成していた。CBDの各ドメインのコラーゲン結合能をELISA法により分析したところ、N1、Linker、N2のいずれかを欠失させることでコラーゲン結合能が失われたことから、これらの構造がコラーゲン結合能に必須であることが明らかとなった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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