研究課題/領域番号 |
21H03173
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
松本 省二 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00570772)
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研究分担者 |
小山 裕司 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (00319013)
石原 拓磨 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (00783193)
安田 あゆ子 藤田医科大学, 大学病院, 教授 (30402613)
中原 一郎 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80252451)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 急性期脳卒中 / tPA治療 / 血管内治療 / ICT / TQM |
研究実績の概要 |
超急性期脳梗塞に対するrecombinant tissue plasminogen activator (rt-PA)静注療法や脳主幹動脈閉塞を伴う場合の脳血管内治療である経皮的血栓回収術endovascular treatment (EVT)は、有効性が証明された治療である。これらの治療は発症早期に行うほど効果が高く、例えばガイドラインでは来院から治療開始までの時間(Door-to-Needle time; DNT)を30分から遅くとも1時間以内に行うことが推奨されている。しかしながら病院に患者が到着後に治療方針を決定するためには病歴確認、診察、血液や画像検査などの病院内の多部門に跨る多くの業務タスクが存在している。医療現場では、さまざまな種類の疾患の診療業務を行いながら、このようなタスク処理を、院内の多部署と連携して24時間365日体制で迅速に処理する必要があるが、難しい状況も起こりうる。 我々は、このような院内の多部署が連携して短時間に必要なタスクを処理することをICTで支援するために<タスカル>というシステムを開発してきた。今回その<タスカル>をスムーズに、各医療機関で使用開始するために組織マネジメントの総合的質管理Total quality management(TQM)手法を用いた<タスカル/TQMプログラム>を開発した。今回の研究では、<タスカル/TQMプログラム>を様々な医療機関に導入することによる診療プロセスに与える影響と、その影響に関連する因子等を明らかにし、さらに有効な<タスカル/TQMプログラム>を開発し、日本全国の脳卒中診療の包括的改善のためのスキーム開発に繋げることを目的にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、<タスカル/TQMプログラム>を全国の27施設に導入済み(残り1施設)である。導入の際には、まず、1施設ごとにWebミーティングを行い、診療体制や診療ワークフロー、施設の通信環境等を確認し診療フローチャートを作成し、それをもとに各施設ごとに<タスカル>をカスタマイズしている。施設の医療端末がスマートフォンでない場合には<タスカル>を使用することができないため、研究事務局より研究期間中のスマートフォンの貸し出しを行なっている。導入した施設での日々の運用上の問題についても本研究事務局で継続的な支援を行なっている。<タスカル>の改善すべきシステム上の問題が浮上した際には、研究チーム内で議論し、機能の改良や新たな機能の実装も行なっている。以上、概ね、計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
<タスカル/TQMプログラム>を残り1施設に導入するとともに、全28施設の診療情報を収集し、<タスカル/TQMプログラム>を各施設へ導入することによる影響、それに関連する因子解析、それに基づいた<タスカル>および<タスカル/TQMプログラム>の改良を予定している。また<タスカル>システム上の課題に関しては、明らかになり次第、改善する方針である。
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