研究実績の概要 |
国際下痢症研究センター(icddr,b)の研究協力者らと打ち合わせを行い、共同研究3年目の業務委託契約を交わした。ラボでの測定手順の確認しながら、既存生体サンプル使用による分析を継続して行った。本研究で行われる新規分析は、15歳から収集された保存済みの生体試料のみを使用した。母子コホートの4.5歳、9歳および15歳の子供を対象とした追跡調査情報とともに統合解析が行われた。尿中金属データ(ヒ素As、カドミウムCd)は、妊娠中および4.5歳、9歳の子供からのものが既にあり、世帯の社会経済指標(SES)、調理用燃料の使用、飲料水源などの社会人口統計情報データも使用した。空腹時の血液と尿のサンプル、および母親からの尿のサンプルが収集されており、総Asレベルは尿で測定し、末梢血単核細胞(PBMC)は血漿から分離された。PBMCは液体窒素で保存し、血漿は-80℃で複数のアリコートで保存されたものを使用した。凍結したPBMCにて、フローサイトメトリーにより表現型分析を行った。 血漿脂質は、自動臨床化学分析装置を使用した酵素比色分析によって測定された。酸化型LDL/HDLはキットを使用し測定を終了した。Cd濃度はHVG-AASを使用して測定し、100%の尿サンプルの分析が終了した。成果発表として、2つの論文としてまとめる予定である。1つは、フローサイトメトリーによるPBMCの表現型と妊娠期から青年期までのヒ素暴露との統合解析の論文である。現在、執筆中で共著者によるコメント対応等を行っている。もう1つは、重金属暴露と青年期の慢性疾患関連のバイオマーカーに関するもので、酸化型LDL/HDLを含めた統合解析を行っているところである。
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