研究課題
1.「コロナウイルスの生体(皮膚)表面および環境中におけるウイルス粒子安定性の解析」綿、ポリエステル製の乾燥スワブ(乾燥条件)と回収液に浸したスワブ(湿潤条件)での擦過回収について、種々の物体表面(1~400cm2)に対しインフルエンザウイルス等を塗布し、ウイルスRNA、感染性ウイルスの回収率を比較した。その結果、全ての表面において乾燥条件と比較して湿潤条件で回収率が上昇した。 また、回収率は綿スワブがポリエステルスワブより優れ、単位面積当たりのスワブの水分放出量と感染性ウイルス回収率が正の相関を認めた。以上より、最も効果的な回収法は湿潤な綿スワブを用いて10cm2程度の面積をサンプリングすることであり、以上の成果をまとめて論文発表した。2.「COVID-19感染者におけるウイルス変異の意義を探求する研究」腎移植患者におけるソトロビマブおよびレムデシビルに対する耐性ウイルスの解析を行い、Sタンパク質とRNA dependent RNA polymeraseに耐性変異(S:E340A/RdRp:V792I)を見出した。上記2剤の(同時期の)併用療法において、投与後3週間以内に二重耐性ウイルスの出現が見られたことは報告がなく、一方で、耐性ウイルスのin vitro増殖性は野生型に比べて低下していた(cost of fitness)ことを見出し、これらの成果をまとめて論文発表した。次に多発性骨髄腫治療中の長期ウイルス感染者において、ニルマトレルビル(プロテアーゼ阻害剤)治療に対する薬剤耐性ウイルスの解析を行った。治療後3週間以内に出現(再燃)した薬剤耐性ウイルスはウイルス3CLプロテアーゼに1アミノ酸変異(T21I)があり、患者より分離したウイルスがニルマトレルビルに対する耐性を獲得していることをin vitro感染試験により確認し、症例報告として論文発表した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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