研究課題/領域番号 |
21H03186
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
林 櫻松 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50340302)
|
研究分担者 |
中杤 昌弘 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (10559983)
櫻井 美佳 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (80508359)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 膵がん / ゲノムワイド関連解析 / 遺伝子多型 / ファインマッピング |
研究実績の概要 |
アメリカ国立がん研究所(NCI)との共同研究で、欧米人を対象とした膵がん全ゲノム関連解析(GWAS)のサマリーデータを用いて、GP2遺伝子領域のバリアントと膵がんリスクの関連を検討した。その結果、ヨーロッ人集団ではrs78193826のマイナーアレルTの頻度が0.01%よりも低いため、本遺伝子型に関する情報が得られなかった。さらに、rs78193826と連鎖不平衡関係にあるほかのバリアント(rs117267808, rs73541251など)について検討したところ、いずれも膵がんリスクと有意な関連が認められなかった(P>0.05)。これらの結果より、GP2領域のバリアントは、日本人を含むアジア人に特異的なバリアントであることが示唆された。
東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)とのGWAS共同研究で、膵がん症例500人、がん以外の健常人コントロール17551人について、SNPジェノタイピングとインピュテーション(遺伝子型情報の補完)が完了した。SAIGEを用いて、性別や主成分を補正した上でSNPと膵がんリスクの関連を評価した。その結果、膵がんリスクと有意(ゲノムワイド有意水準:P<0.00000005)に関連するSNPは同定されなかったものの、これまでのGWASで報告されている1番、9番、16番染色体のバリアントと膵がんリスクの関連は確認できた。来年度は、より詳細な解析や考察を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵がん症例500人、コントロール17551人についてのSNPジェノタイピングは完了したが、結果の詳細な解析を行う必要があるため、予定よりやや遅れている。また、アジア人におけるGP2領域のファインマッピングを実施するために必要なNCIからの追加GWASデータは、まだ入手できていないため、予定よりもやや遅れています。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、ToMMoとの共同研究で得られたGWASデータ、既存の膵がんGWASデータ、NCIから入手予定のGWASデータをまとめ、アジア人におけるGP2遺伝子領域に存在する膵がんの原因となるバリアントを特定する。また、ELISA法により膵がん症例と対照の血漿中GP2レベルを測定し、膵がんのマーカーとしての可能性を評価する。
|