研究実績の概要 |
これまでに報告されている膵がんGWASメタ解析データ(ケース2039例、コントロール32592例)に前年度実施した膵がんGWASで得られたデータ(ケース496例、コントロール4454例)を加え、GWASメタ解析(ケース2535例、コントロール37046例)を実施した。マイナーアレル頻度(MAF)が0.01以上かつimputation精度が0.4以上のSNPを分析対象とし、メタ解析にはMETALを用いた。その結果、13q22.1(rs4885093)、9q34.2(rs9411476)、16p12.3(rs73541251)、1p13.2(rs3737136)の4ゲノム領域における遺伝的変異が膵がんリスクと有意に関連することが明らかになった。
GP2が膵がん早期発見のバイオマーカーとしての有用性を検討するために、ELISA法を用いて血漿GP2濃度を測定した。膵がん症例134例(うちステージ1が6例、ステージ2が26例)と対照134例について、血漿GP2濃度を比較した。対照群におけるGP2濃度の中央値は79,790 pg/mlであったのに対し、症例群では128,345 pg/mlであり、膵がん症例群でのGP2濃度は有意に高かった(p<0.001)。ROC曲線の曲線下面積(AUC)でGP2の診断能を評価したところ、全体のAUCは0.68 (95%信頼区間: 0.61-0.74)であった。さらに、ステージが高いほど、AUC値が大きくなることが示された。これらの結果から、GP2は予後を反映するバイオマーカーである可能性が示唆された。
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