研究実績の概要 |
cell-free DNA (cfDNA) は,アポトーシスやネクローシスなどの細胞死の際に血中に放出される細胞外遊離DNA断片を指す.申請者はこれまでに,心筋梗塞患者でcfDNA濃度が有意に上昇し,150-200bp/500-600bpのcfDNAフラグメント濃度比が他の心疾患患者と比較して有意に高いことを明らかにした. また血清中myeloperoxidase (MPO)は心筋梗塞患者がコントロールおよび他の心疾患患者に比較して有意に高く,アポトーシスに加えNETosisがcfDNA放出に関与していることを明らかにした.NETosisとは,ネクローシスともアポトーシスとも異なる第3の細胞死と言われ,細胞質や細胞核の縮小・DNAの断片化は伴わなず2ー3時間で完了する.さらに解剖試料においてもcfDNA濃度の上昇は心筋梗塞患者同様,アポトーシスに加えNETosisがcfDNA放出に関与していることが示唆され,特にアポトーシスは死後経過時間に伴って誘導されNETosisとネクローシスは継続的に誘導されていることが考えられた.
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