研究課題/領域番号 |
21H03222
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内海 桃絵 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40585973)
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研究分担者 |
山川 みやえ 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80403012)
朝野 和典 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 理事長 (40202204)
澤田 砂織 公益財団法人京都高度技術研究所, 未来プロジェクト推進室, 主任研究員 (30373509)
西尾 修一 大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任教授(常勤) (80418532)
山崎スコウ 竜二 大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任講師(常勤) (10623746)
濱口 重人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (20735360)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 感染管理 / 手指衛生 / 高齢者施設 / 教育 / サーベイランス |
研究実績の概要 |
高齢者ケア事業所における感染対策の実際についてのインタビュー調査の分析を行い、事業所のサービス形態に適した感染対策研修プログラムの作成を行った。また、高齢者施設における将来的な活用を視野に、医療施設において手指衛生動作の自動検出システム開発のためのデータ収集を行った。 高齢者ケア事業所の管理者および職員24名を対象に行ったグループインタビューのデータ分析を行い、COVID-19パンデミックによる介護従事者の経験と感染症流行時の事業継続のための課題について検討した。その結果、対象者は、混乱から慣れへとCOVID-19 の捉え方を変化させていたが、長期化するパンデミックにストレスや不安は強かった。また、利用者の生活維持のため事業を継続する必要性を感じており、感染対策、従業者教育、サービス内容を変更するなどの工夫をしていたが、感染対策による高齢者への弊害を感じており、高齢者介護と感染対策を両立する難しさを語っていた。 感染対策研修プログラムは、高齢者ケアに関わる事業者連絡会のメンバーへのヒアリングと感染対策のエキスパートメンバーによる話し合いにより作成した。提供するサービス形態(入居介護、デイケア、訪問介護)により、感染対策に対する認識や経験に違いがあったため、対象者別の学習教材とした。研修後のアンケート(配布78名、回収率83%)では、研修に大変満足83.1%、満足13.8%であった。満足度が高かった理由としては、演習を取り入れたこと、参加者と講師の双方向のやり取りがあったこと、近隣の別の事業所との意見交換ができたことなどが挙げられる。しかし、これらを可能にするために、参加者は少人数に絞らなければならなかった。今後は、研修修了者が新たな講師になるような仕組みづくりやeラーニングの活用などが必要と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19パンデミックの影響により、医療機関および高齢者施設におけるデータ収集に制限があったため。
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今後の研究の推進方策 |
医療機関のICUおよび一般病棟にビデオカメラを設置し、その映像から医療従事者のアルコール手指消毒剤による手指衛生の実施状況の自動検出を試みる。目視で抽出した手指衛生動作を教師データにして、手首の動きの周波数応答を用いた機械学習により手指衛生のイベントの特定を行う。ビデオカメラ映像と直接観察による手指衛生遵守率の比較、時間による手指衛生遵守率の違いなどを検証し、より効果的な手指衛生遵守率調査について検討する。 コミュニケーションロボット(以下ロボット)を活用した感染対策の可能性について検討する。ロボットはリンクナースとともに病棟の看護師や医師に感染対策や手指衛生を促す役割を担ってもらい、病棟看護師と医師のロボットの受け入れ状況を調査する。 高齢者ケア事業所の職員が感染対策に対する知識や技術の習得を支援する学習コンテンツを公開する手法について検討する。
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