研究課題/領域番号 |
21H03222
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内海 桃絵 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40585973)
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研究分担者 |
山崎スコウ 竜二 大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任講師(常勤) (10623746)
濱口 重人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (20735360)
澤田 砂織 公益財団法人京都高度技術研究所, 未来プロジェクト推進室, 主任研究員 (30373509)
朝野 和典 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 理事長 (40202204)
山川 みやえ 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80403012)
西尾 修一 大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任教授(常勤) (80418532)
太田 悦子 大阪大学, 医学部附属病院, 看護師長 (20945638)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 感染管理 / 手指衛生 / 高齢者施設 / 教育 / サーベイランス |
研究実績の概要 |
医療機関のICUにビデオカメラを設置し、その映像から医療従事者のアルコール手指消毒剤による手指衛生の実施状況の自動検出を試みた。目視で抽出した手指衛生動作を教師データにして、手首の動きの周波数応答を用いた機械学習により手指衛生のイベントを特定した。精度(accuracy)75.18%、適合度(precision)72.89%、再現性(recall)80.91%であった。このシステムは、ホーソン効果などのバイアスを排除した手指衛生遵守率の推定に活用可能であり、人的資源のより有効な使用につながる。また、専門家不在の施設における手指衛生遵守率サーベイランスにも貢献することが期待できる。今後は、一般病棟および高齢者ケア事業所を対象にデータ収集を行う予定である。 感染対策に関する行動のリマインドや情報伝達にコミュニケーションロボットを活用するためのパイロット調査を行った。約15㎝の小型のロボットが定期的に手指衛生等を呼びかけるように設定し、スタッフステーションに設置した。ロボットは様々な音がする病院環境においても一定期間作動することができた。今後は、対象施設を増やし、客観的な指標による手指衛生実施状況の評価と組み合わせてロボットの有効性を検討する。 地域の高齢者ケアを担う介護士、医師、看護師らを対象にVRを用いた手指衛生研修を実施した。VRは手指衛生が必要なタイミングを学ぶことを目的に我々が開発した。映像は病室のベッドに臥床した患者の目線で展開し、そこに看護師と医師が処置に訪れる内容である。病院環境以外で働く対象者ではあったが、VRを用いた研修は好評であった。効果の検証方法が今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19パンデミックの影響により、医療機関および高齢者施設におけるデータ収集に制限があったため。
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今後の研究の推進方策 |
介護施設において、直接観察とビデオカメラによる映像により、介護施設における手指衛生の実態を把握するとともに、ビデオ映像での手指衛生遵守率調査が可能かを判断する。医療施設においては一般病棟での使用可能性について検討するとともに、より高い精度を得るための教師データの収集を行う。 介護施設の2つのユニットを対象に手指衛生遵守率サーベイランス、症候群サーベイランスの結果をアウトカムにして、コミュニケーションロボットによる介入の有効性について調査する。医療施設においても同様に客観的な指標による手指衛生実施状況の評価と組み合わせてロボットの有効性を検討する。 VRを用いた手指衛生研修の前後比較検証を行うとともに、高齢者ケア事業所の職員が感染対策に対する知識や技術の習得を支援する学習コンテンツを公開する手法について検討する。
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