研究課題/領域番号 |
21H03250
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森山 美知子 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (80264977)
|
研究分担者 |
RAHMAN MDMOSHIUR 広島大学, 医系科学研究科(保), 准教授 (10796056)
Ashir Ahmed 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30457444)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 生涯発達看護学 / School nurse / Health education / Infectious diseases / Malnutrition / Bangladesh |
研究実績の概要 |
本研究は、学校看護師制度や学校健診のないバングラデシュに、試験的に養成した学校看護師を小学校に配置し、健康診断と科学的根拠に基づく健康教育を実施し、児童の健康への意識を高め、児童が親や地域のアドボケーターになることで、地域全体の感染症や栄養不良を発症する者の減少を狙うものである。学校保健の仕組みについても検討を行う。 (1) 準備:①バングラデシュにあるグラミン・カレドニアン看護大学と共同し、学校看護師の教育プログラム(本研究用に限定した内容)を開発し、当該校の大学院生と教員10人に16セッション(32時間)の教育を実施した。教育評価も質的に実施する計画である。②介入で使用する教育教材(健康日誌やフードピラミッド等)を作成した。 (2)疫学調査(介入研究のベースライン、10月に実施):フィールドとして選定したEkhlaspur地区とJahirabad地区の4つの小学校(2校:介入群(計313人)、2校:対照群(291人))で健康診断と質問紙調査を実施した(COVID-19の影響を受け、当初計画していた小学校から変更した。)。健康診断の内容は、身体計測(栄養状態の計測を含む。)、血液検査、視力検査、尿検査(尿糖、尿蛋白)、便検査(寄生虫検査)である。 (3)介入研究:介入群に選定した2校の児童242人に対して、(1)で養成した学校看護師が、原則、学年ごとに週1回、(1)で作成した教材を用いて、児童に教育を行った。教育内容は、栄養・適切な食習慣、個人衛生・日々のセルフケア、寄生虫の知識と予防である。 現在、健診や調査票の分析結果についてまとめ、保護者への伝達や教育を準備している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、バングラデシュでは1年半にわたって学校が閉鎖された。一度再開されたが、全面解除にはならず、児童は学年による変則登校や時間短縮などを余儀なくされている。そのため、研究の開始は大幅に遅れたが、フィールドを規制の少ない地域に変える、家庭訪問など個別対応を行う、児童を分散させて実施するなどして、何とか介入を開始、続けることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
本来は1年目に実施する計画であった中間評価(栄養状態と行動変容に関する質問紙調査)を2年目の4月-5月に実施する。ラマダン及びラマダン明けの長期休暇が入ることから、工夫をしながら介入(健康教育)を実施する。また、9月-10月に、1年後の終了時点の調査(健康診断と質問紙調査)を実施する計画である。また、健診結果や栄養・行動調査の結果を保護者にフィードバックし、必要な場合には行動変容を促す教育保護者に対しても行う。 フィールド校を拡大し、健康診断を実施する学校数を増やし(当初計画した学校を追加し)、健診を継続するとともに、構築した学校看護師による健康教育を実施する。さらに、児童に自発的に「健康委員会」などを学校内で創設するように促し、自分たちで健康を改善するために行動するように働きかける。 グラミン・カレドニアン看護大学で実施する学校看護の教育を拡大する。目の健康(照明や姿勢など)、精神の健康等、拡大していく。
|