研究実績の概要 |
今年度は育児休業を取得群と非取得群の男性に関する調査結果について、より詳細な解析を加えた。育休取得による家事・育児時間の増分に関する多変量解析をおこない、平日で5.7分(95%信頼区間:1.2-10.3)、休日で15.5分(95%信頼区間:4.0-27.1)増加することを示した。また、産前産後の家事・育児時間の変化量について、育休取得群の方が平日で4.4分、休日で11.8分多くなることが示された。これらの結果は日本公衆衛生学会にて発表するとともに、論文投稿の作業を進めた。 男性の育児休業の取得効果に関する先行研究の系統的レビューについて、より幅広な文献データベースを対象にする必要があったため、作業を見直し、MEDLINE, EMBASE, CENTRAL, PsycINFO, CINAHL, ERIC, SSCIの7つの文献データベースから抽出作業をおこなった。抽出された論文について、一次スクリーニングで5820件、フルテキストスクリーニングで144件、最終的に56件が抽出された論文数となった。56件のうち、多くは米国やスウェーデンをはじめとする北欧における研究であり、アジア圏では韓国の論文が2件あるのみで、日本における研究はなかった。調査時期は2000年前後が多く、2016年以降になると5件にとどまり、研究そのものの数が非常に少なくなることが分かった。解析データはNational surveyやAdministrative dataがほとんどであった。具体的なアウトカム指標としては、Father's involvementがもっとも多く、全体の半数以上を占めた。ストレスやメンタルヘルス、賃金格差やGender equalityなどもアウトカムに用いられていた。
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