研究実績の概要 |
脳損傷後どのような神経回路を担う神経細胞にAMPA受容体が集積することで失われた運動機能が補われているのかについて明らかにすることを目的とし、逆行性アデノ随伴ウィルスベクター(Tervo et al., Neuron. 2016:逆行性AAV)を用いて可塑的変化が起こった経路の同定を試みる。逆行性に蛍光タンパクを発現するAAVrg- hSyn-EGFPもしくはAAVrg- CAG-tdTomatoを用い、大脳皮質運動野からの投射先として反対側の運動皮質と皮質下投射の中継部位である橋に導入する。これらの処置によりウィルスが各脳領域から逆行性に大脳皮質第5層に感染し、大脳皮質から各脳領域に投射する細胞は蛍光タンパク陽性となりそれぞれの経路に投射する細胞を容易に見分けることができる。本年度においては運動学習後にそれぞれの領域に投射する神経細胞からパッチクランプ法により興奮性シナプス伝達としてのmEPSCを記録することができた。この結果を元として損傷後回復した動物において、どのようにこの値が変化するのかを検討する。
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