• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

骨格筋機能解析システムを用いた筋力低下要因の解明と個別化トレーニングの効果検証

研究課題

研究課題/領域番号 21H03303
研究機関京都大学

研究代表者

市橋 則明  京都大学, 医学研究科, 教授 (50203104)

研究分担者 谷口 匡史  京都大学, 医学研究科, 助教 (00827701)
中井 隆介  京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (10576234)
山田 陽介  国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 身体活動研究部, 室長 (60550118)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード筋機能 / MRI / AI / 高齢者 / トレーニング / 変形性膝関節症
研究実績の概要

地域在住高齢者92名および健常若年成人43名を対象とし、骨盤-大腿部を中心とした骨格筋MRIの撮像および筋力を含めた運動機能計測を実施した。まず、この骨格筋MRIデータをもとに機械学習を用いたAI自動セグメンテーション技術の開発を推進した。特に、大腿四頭筋について、従来のマニュアルセグメンテーションによる筋領域の抽出に対するAI技術の高い信頼性を保証し、かつ解析時間の大幅な短縮に成功した。また、この技術基盤を用いて、Dixon法による筋内脂肪率の算出に至るまで自動的に解析できる段階に改良できており、骨格筋機能解析システムの構築は順調に推移している状況にある。さらに、新規筋変性指標の探索として、三次元筋形状に着目した。MR画像を三次元化することで個人の筋形態を可視化し、統計形状モデルを用いて形態変化を定量化することを試みている。この筋形状は、筋力発揮に対して筋体積とは独立して説明力を持つことを若年者において確認しており、新規筋変性指標の一つとなることを示唆した。今後は、高齢者データに応用し、高齢者の筋力低下に筋量や筋内脂肪、さらに筋形状が影響するかを検討する段階にある。また、MRIを撮像した高齢者のうち、膝関節の変形状態から健常高齢者および早期変形性膝関節症に区分し、疾患特異的な筋変性特徴についても検討した。その結果、早期変形性膝関節症の筋変性は筋内脂肪変性が顕著であり、特に内側広筋の筋内脂肪率の上昇は健常高齢者から早期変形性膝関節症を弁別できることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、骨格筋MRIの撮像スケジュールに遅れが生じた。ただし、その間にもAI解析技術の開発を進展させることができたため、対象者数の増加と同時に画像解析が可能となったことで新規筋変性指標を創生することはできた。以上より、当初計画からはやや遅れているが、大幅な遅れが生じることなく進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

前年度に引き続き、AI自動セグメンテーション技術を用いた骨格筋機能解析システムの改良を進める。現在、マニュアルセグメンテーションとの妥当性を検証済みである筋は大腿四頭筋に限定されているため、他の大腿部筋についても精度検証が必要であり、必要に応じて再学習を図ることで骨格筋機能解析システムの精度向上を図る。新規筋変性指標となりうる統計形状モデルによる筋形状について、高齢者と若年者を比較することで加齢による影響を調査したうえで、高齢者の筋力発揮に及ぼす影響を明らかにする。これらの筋変性指標に基づき、前年度に計測した高齢者の運動機能データとの関連を調査することで、高齢者の運動機能低下(主に筋力低下)を予測するアルゴリズムを開発する。また、これまでの研究成果により、筋力低下と筋内脂肪増加の関連が示唆されたことから、筋内脂肪を効率的に減少させ得るトレーニング方法の開発が必要であるといえる。このトレーニング方法を開発するため、運動強度や速度、筋収縮様式などのトレーニング要素を調整し、その効果検証を推進する。筋内脂肪と運動速度が関連するという先行研究の知見を参考にし、まず運動速度に注目してトレーニングによる筋内脂肪の改善効果を検討していく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Correction: Age- and sex-related differences of muscle cross-sectional area in iliocapsularis: a cross-sectional study2022

    • 著者名/発表者名
      Yagi Masahide、Taniguchi Masashi、Tateuchi Hiroshige、Hirono Tetsuya、Fukumoto Yoshihiro、Yamagata Momoko、Nakai Ryusuke、Yamada Yosuke、Kimura Misaka、Ichihashi Noriaki
    • 雑誌名

      BMC Geriatrics

      巻: 22 ページ: 657

    • DOI

      10.1186/s12877-022-03281-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 骨格筋機能評価と臨床応用の最前線2021

    • 著者名/発表者名
      谷口 匡史、福元 喜啓
    • 雑誌名

      Journal of the Society of Biomechanisms

      巻: 45 ページ: 30~36

    • DOI

      10.3951/sobim.45.1_30

  • [学会発表] 筋の機能とトレーニング2023

    • 著者名/発表者名
      市橋則明
    • 学会等名
      第21回日本電気生理運動学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 筋の機能とトレーニング2022

    • 著者名/発表者名
      市橋則明
    • 学会等名
      第10回日本運動器理学療法学会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Evaluation of Bayesian active learning strategies with different acquisition methods and model capacities in musculoskeletal segmentation from MRI2022

    • 著者名/発表者名
      Ganping LI, Yoshito OTAKE, Mazen SOUFI, Masashi TANIGUCHI, Masahide YAGI, Noriaki ICHIHASHI, Keisuke UEMURA, Masaki TAKAO, Nobuhiko SUGANO, Yoshinobu SATO
    • 学会等名
      International Forum on Medical Imaging in Asia.
    • 国際学会
  • [学会発表] CT 画像学習データを用いた MRI での自動筋体積計測2021

    • 著者名/発表者名
      Li Ganping, 大竹 義人,中西 直樹, 谷口 匡史, 八木 優英, 市橋 則明, スーフィーマーゼン, 上村 圭亮, 高尾 正樹, 菅野 伸彦, 佐藤 嘉伸
    • 学会等名
      第40回日本医用画像工学会大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi