研究課題/領域番号 |
21H03317
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
天野 達郎 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60734522)
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研究分担者 |
藤井 直人 筑波大学, 体育系, 助教 (00796451)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アドレナリン / ノルアドレナリン / カテコラミン / 発汗 / エクリン汗腺 / イオントフォレーシス / 体温調節 / 熱中症 |
研究実績の概要 |
申請者のこれまでの研究より,ノルアドレナリン性交感神経阻害薬を皮膚に経皮的に投与すると短時間高強度運動時や暑熱下持久性運動時の発汗反応が低下することが分かっている。これは汗腺のαあるいはβアドレナリン受容体が運動時の発汗に寄与する可能性を示しているものの,各受容体を単独阻害したときの発汗はわずかに低下するか,ほとんど影響を受けないなど,知見が一致していない。 そこでR3年度は汗腺のαアドレナリン受容体,βアドレナリン受容体,ノルアドレナリン性交感神経が単独あるいは複合的に暑熱下運動時に発汗反応に関与するのかどうかを検討した。被験者は20名程度の健康なアスリートをリクルートし,R3年度終了時点で実験が始まったのが8名で,すべての実験が終了したのは3名であった。実験では①αアドレナリン受容体阻害薬(テラゾシン),②βアドレナリン受容体阻害薬(プロプラノロール),③ノルアドレナリン性交感神経阻害薬(ブレチリウム),④①+②の複合阻害,⑤ムスカリン受容体阻害薬(アトロピン)を投与した時に暑熱環境下で30分間の中強度運動を行い,そのまま漸増負荷試験を行ってオールアウトまで運動を継続した。被験者は3回実験室にきてもらい,上記①~⑤の条件の介入を行っている。また左右の腕の発汗量の比較も行う。R3年度の前半はこれらの薬剤を使用するプロトコルの確立と阻害薬のバリデーションを行うプロトコルの予備検討を行った。その上でR3年度後半から本実験のリクルートと試験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロトコルの確立に少し時間がかかってしまったため,実験開始が遅れたものの,その後は順調にデータを習得できている。そのためやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R4年度はR3年度の実験の続きを行い,得られた知見の解析と論文化を進める。また,申請者のこれまでの研究では有毛部の発汗でしかアドレナリン性の発汗を検討してこなかったため,有毛部とは異なる発汗動態を示す手掌部においてアドレナリン性受容体や神経が発汗に及ぼす影響を検討する。さらにこの応答の個人差・トレーニング差や有毛部との発汗機能の関係なども調べる予定である。
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