運動するには筋肉に十分量の血液を送るために自律神経系が働き、各器官の血管の太さや心臓の動きが直ちに変化する。この調節には、筋肉を動かすために脳内で生じるシグナル(セントラルコマンド,CC)による役割が重要である。本研究では、視床下部オレキシン神経系がCCの脳内回路の一端であることを突き止めた。体内の状態を運動に適したものへと速やかに変えていくこの神経系の働きは、歩行の開始・継続に理にかなっている。本研究成果は運動パフォーマンスが心理状態によって変わる仕組みの解明や、各疾病患者の日常生活で見られる血行動態異常の病態解明やその治療法開発に役立つことが期待される。
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