研究課題/領域番号 |
21H03328
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
赤澤 智宏 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80291160)
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研究分担者 |
久松 大介 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任研究員 (20880272)
馬渕 洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50424172)
奈良岡 佑南 順天堂大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (50828522)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中胚葉オルガノイド / バイオリアクター / Meatbud |
研究実績の概要 |
高齢者が筋疾患に罹患する確立は極めて高く、骨格筋の再生・機能の維持は非常に重要な課題である。近年我々は、筋サテライト細胞の人工ニッチとなる細胞外マトリックス培養法、および組織幹細胞の選択的分離やオルガノイド作製に関する基礎研究を行ってきた。本研究では、これらの技術を統合し、より生体内に近い多細胞からなるオルガノイドを作製し、筋組織の再生と機能補完を同時に実現する幹細胞移植プラットフォームの創出を実現し、高齢者の筋力低下やアスリートの筋障害の改善により、介護やスポーツ医学分野のさらなる発展を目指す。 サルコペニアをはじめとした筋疾患に対する治療において、筋サテライト細胞の移植が試みられているが、培養により骨格筋幹細胞は筋芽細胞へと分化し移植効率が著しく低下することが知られる。一方で、骨格筋は様々なサイトカインを放出する内分泌器官としても注目されているが、いまだに機能が不明な分泌因子が多い。そこで本研究では、筋疾患の改善を目的とし、移植に適した細胞の選定や培養法の確立、分泌因子の正確な発現情報の解明を行う。昨年度は、移植に用いる多細胞からなる中胚葉オルガノイドの作製を行った。具体的には、筋サテライト細胞の生存・増殖をサポートすることが知られる間葉系細胞を筋オルガノイド形成時に加えることで、複数細胞種からなるオルガノイドの創出を試みた。これまでの筋サテライト細胞の培養法に脂肪分化に重要な因子を複数加えることで、脂肪を含む筋オルガノイドの開発に成功した。一方で、二次元培養と三次元培養により放出される分泌因子が異なることが知られる。そこで、二次元培養細胞と三次元培養による細胞凝集塊の細胞上清の網羅的なサイトカイン発現解析を実施したところ、複数のサイトカインで発現が変動することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の達成目標である多細胞から構成される中胚葉オルガノイドの作製に関しては、組織幹細胞由来の脂肪を含む筋オルガノイドの創出に成功し、論文発表等を行ったことから、おおむね順調に進んでいる。作製した筋オルガノイドの機能評価に関しては、骨格筋や脂肪関連遺伝子のみであるため、由来組織と作製したオルガノイドの比較トランスクリプトーム解析を実施することで、生体内の組織をどの程度模倣できているかを調べる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、多細胞から構成される中胚葉オルガノイドの作製、中胚葉オルガノイドを用いた筋損傷に対する移植効果の検証、生着したオルガノイドの内分泌器官としての効果の検証の3つの研究開発項目に分け目標達成を目指している。昨年度に開発した多細胞からなる筋オルガノイドは組織幹細胞由来のオルガノイドであり、その拡大培養にも限界があることが知られる。そこで本年度は、多能性幹細胞由来の中胚葉オルガノイドの創出を試みる。具体的には、マウスあるいはヒトiPS細胞から間葉系細胞および骨格筋幹・前駆細胞を誘導し、昨年度に開発した培養法により多細胞からなる筋オルガノイドを創出し、骨格筋や脂肪関連マーカーの免疫組織学的解析を行う。また、組織幹細胞由来の筋オルガノイドとの比較トランスクリプトーム解析および培養上清中のサイトカインの網羅的発現解析を実施する。さらに、移植には大量の細胞が必要となるため、バイオリアクターを用いた浮遊大量培養法の確立を目指す。 他法、構築した筋オルガノイドの移植効果の検討を行うため、マウスを用いたオルガノイド移植法の開発を行う。具体的には、前脛骨筋にコブラ毒で筋損傷を誘導し、損傷部位へ作製した筋オルガノイドを移植し、治療効果を評価する。本年度は損傷部位へのオルガノイドの最適な移植法の開発を試みる。筋サテライト細胞、筋オルガノイド(スフェロイド)単体、および間葉系細胞を含む筋オルガノイドの移植を行い、細胞の生着率や成熟度を免疫組織学的解析により明らかにする。また、生着した細胞を含む筋組織の一細胞トランスクリプトーム解析により、移植細胞の生体内における動態を詳細に解析する。
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