研究課題/領域番号 |
21H03344
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
四反田 功 東京理科大学, 理工学部先端化学科, 准教授 (70434024)
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研究分担者 |
長峯 邦明 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 准教授 (00551540)
美川 務 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 専任研究員 (20321820)
辻村 清也 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30362429)
元祐 昌廣 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (80434033)
柳田 信也 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 教授 (80461755)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バイオセンサ / ウェアラブル / バイオ燃料電池 / 自己駆動 / 乳酸 / 汗 |
研究実績の概要 |
本研究では,暑熱環境下における熱中症の予兆を体液中のバイオマーカーから評価する新たな手法について研究している.本年度は,転写印刷型の塩化物イオンセンサを用いた実装評価試験ならびに新規流路付乳酸センサの開発および実装評価試験を行った. 現在,運動している人の汗中に含まれる電解質をモニタリングするための,ウェアラブルデバイスが注目されている.しかし,直接基板上に電極を印刷するとセンサが皮膚に触れてしまうことによって,かぶれが生じる可能性がある.この問題を解決するために,転写印刷型塩化物イオンセンサを作製した2.不織布にセンサを転写印刷することで,皮膚に触れないで測定ができることが示された.しかし,リアルタイムでのモニタリングに使用するためには,センサの汗検出部において古い汗と新鮮な汗が混ざらないように常に古い汗は排出される必要がある.また,発汗してからタイムラグのない素早い応答が必要であるため,応答性を向上させる必要がある.そこで,本研究では高吸水性繊維(SAF)を用いた汗の排出機構の検討を行った.また,参照極膜にノニオン性界面活性剤を添加することで,吸水性を高めて塩化物イオンセンサの応答性を向上させることを試みた.また,作製した塩化物イオンセンサを実際に人体に着装した試験を行った.測定結果より,発汗してから運動終了までセンサの電位は減少した.これは,運動により汗中の塩化物イオン濃度が上昇しているためと考えられた.また,脱水量計との相関がみられた.乳酸センサについては,運動強度が増加するともに血中乳酸および汗中乳酸の増加がみられ,互いに相関があることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とする汗中のイオン・乳酸値を測定可能なセンサの開発に成功している.また実装評価試験を予定通りに実施し,血中乳酸や脱水量との相関関係を得ることに成功している.これらの成果は複数の一流国際誌に掲載されており,予定通りに進展していると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
評価結果をフィードバックし,最適な自己駆動型センシングデバイスを構築し,熱中症を想定した負荷実験中の汗中の乳酸・糖・電解質成分のマルチモニタリングを行い,他のバイタルパラメータとの相関性・疲労度との関連性について詳細に検証する.被験者に対して,常温条件(雰囲気温度25℃,相対湿度50%),高温条件(雰囲気温度35℃,相対湿度70%;東京の真夏を想定)の比較から,暑熱環境下における実装の可能性を評価する.運動条件は,有酸素運動条件(中程度の長時間運動),高強度間欠的運動,起立した状態(運営スタッフを想定),安静座位(観客を想定)などのモニタリングを行い,総合的な実装評価を行う.
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