研究課題/領域番号 |
21H03382
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
酒井 真志人 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40643490)
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研究分担者 |
厚川 正則 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00386161)
菱川 大介 日本医科大学, 医学部, 講師 (10569966)
山崎 吉之 日本医科大学, 医学部, 助教 (90407685)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肝臓 / 糖・脂質代謝 / 組織マクロファージ / 転写制御機構 / 単球 |
研究実績の概要 |
肝細胞の糖・脂質代謝遺伝子の発現は、摂食状態に応じて、ホルモンと栄養素により遺伝子転写レベルで制御され、糖脂質代謝の恒常性を維持している。しかし、肝細胞の絶食・摂食応答遺伝子の発現調節における肝臓の非実質細胞の役割は、十分に明らかとなっていない。本研究では、肝臓の組織マクロファージであるクッパー細胞と肝細胞の相互作用に着目し、肝臓マクロファージ由来因子による肝細胞の遺伝子発現調節と、その肝代謝と病態に与える影響を明らかにする。 令和4年度は、肝臓を構成する各細胞の絶食・摂食依存的な遺伝子発現変動の解析を実施するとともに、本研究に必要な遺伝子改変マウスの作出をおこなった。具体的には、クッパー細胞特異的なゲノム編集を実施するために、クッパー細胞特異的Cas9発現マウス(Clec4f-Cre+/-; Rosa26-LSL-Cas9+/-)を、クッパー細胞を特異的に除去してその効果を評価するために、クッパー細胞特異的ジフテリアトキシン受容体発現マウス(Clec4f-Cre+/-; Rosa26iDTR+/-)を、それぞれ作出した。さらに、ヒトの肝臓マクロファージにおける疾患依存性の遺伝子発現変化をin vitroで解析するために、肝臓の組織環境シグナルを再現することにより培養マクロファージに肝臓マクロファージ特異的な遺伝子発現を誘導する手法を開発した。その後、一部研究計画を令和5年度に繰り越して、ヒトCD14陽性単球を用いた実験を実施し、ヒトCD14陽性単球由来マクロファージにおけるNotchリガンドとTGF-β/BMPリガンドによるクッパー細胞特異的遺伝子の発現誘導を確認した。本手法をヒトの肝臓マクロファージにおける疾患依存性の変化をin vitroで解析するツールとして利用できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝臓を構成する細胞の絶食・摂食条件における遺伝子発現解析を実施し、今後の研究計画に必要となる遺伝子改変マウスを作出した。またヒトの肝臓マクロファージにおける遺伝子発現変化を解析するツールとして、ヒトCD14陽性単球由来マクロファージにクッパー細胞特異的遺伝子の発現を誘導する培養法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
クッパー細胞の特異的な除去が肝細胞の転写に与える影響の解析から、クッパー細胞由来因子が肝細胞の遺伝子発現調節に及ぼす効果を明らかにしていく。また、クッパー細胞特異的Cas9発現マウスを用いてゲノム編集による遺伝子破壊によって肝代謝に影響を与える因子を同定するため、目的遺伝子を標的としたアデノ随伴ウイルスの増幅と精製を実施する。
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