研究課題/領域番号 |
21H03410
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
兼本 大輔 大阪大学, 工学研究科, 講師 (90603332)
|
研究分担者 |
大木 真 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50211785)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 圧縮センシング / 脳波 / 回路とシステム |
研究実績の概要 |
本年度は,圧縮センシングを活用した無線脳波計測回路システム実現へ向けた,間引きサンプリング動作に適した回路・システム設計技術や復元処理手法等に関する基礎検討を行った. 【回路】間引きサンプリング動作に適した回路の仕様検討を実施した.さらに,間引きサンプリングに適した新しい回路トポロジーを提案し,シミュレーションによる動作検証を行った.また,提案技術の有効性を検証するために,機能ブロックの一部を180nm CMOSプロセスを用いて集積回路上に実装した. 【システム】サンプリング間隔の度数がガウス分布に従う新たなサンプリングパターンを考案した.その結果,復元精度を確保しつつ,A/D変換器の変換回数や無線送信情報量を削減可能である事が数値計算上明らかになった.本サンプリングパターンに関する研究成果は電子情報通信学会論文誌(オープンアクセス)にて公表することができた. 【復元処理】脳波信号の特徴を捉え,復元アルゴリズムに用いる辞書の生成方法を改良することで,復元精度の向上が実現できた.さらに,研究を進めるうえで,復元処理における圧縮センシング運用上のセキュリティリスクにも着目し,セキュリティリスクを抑えるための基礎技術を検討できた等,当初の計画以上に研究成果が得られた.
本年度実施した研究内容の一部は,1編の査読付き論文(オープンアクセス),計6件の学会発表(うち招待講演1件)にて公表した.さらに2件の特許出願も行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は,間引きサンプリング法に適した回路トポロジーの検討や,サンプリングパターンの解明,さらには復元精度向上に繋がる辞書作成法等,間引きサンプリング動作に適した回路・システム設計技術や復元処理手法等に関する基礎検討を行うことが出来た.さらに,当初の研究計画の実現だけでなく,圧縮センシング運用上のセキュリティリスクを回避する技術も検討することが出来た. 以上の研究成果の一部は,1編の査読付き論文(オープンアクセス),計6件の学会発表(うち招待講演1件)にて公表し,さらに2件の特許出願も行った事から,当初の計画以上に進展したといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
初年度は間引きサンプリング法を活用した圧縮センシングによる無線脳波計測回路システムに関する基礎検討を行うことが出来た.来年度は,本年度得られた回路・システム・復元処理に関する検討結果を基に,実機で生じうる外乱やノイズなど非理想的要素を十分踏まえ,間引きサンプリング法を活用した無線脳波計測回路システム実装に向けた基盤技術の研究開発(システム,集積回路,復元エンジン開発等)を進める予定である.
|