2023年度は、(a)焦点距離ランダムアクセスの顕微鏡の性能向上、(b)ランダムアクセスビジョンに向けたビジュアルフィードバック手法の開発、(c)ランダムアクセスビジョンによる高速トラッキング実験を行った。 (a) 焦点距離ランダムアクセスの顕微鏡の性能向上では、従来ライトシートの奥行位置の制御に利用していたガルバノミラーを音響光学素子(AO)に置き換え、より高速にライトシートの位置を制御できるライトシート顕微鏡システムを試作した。実際に遊泳する細胞であるクラミドモナスを対象とした計測を行い、三次元像を高速に計測できることを確認した。 (b)ランダムアクセスビジョンに向けたビジュアルフィードバック手法の開発では、画像処理に基づいて対象の位置に合わせた視線方向制御を可能にする手法を開発した。これを実現するためには、撮影されているシーンに合わせて露光タイミングを制御する必要があり、これを実現するために外部からDIOを通じて露光タイミングを動的に入力できるような撮像システムを開発・実証した。 (c) ランダムアクセスビジョンによる高速トラッキング実験では、(b)で開発した手法と画像処理を組み合わせ、動的に運動する対象を常に追従するように視線方向制御を行うアルゴリズムを開発した。これを用いて移動する対象に視線を合わせ続けることが可能であることを実験から実証した。さらに、ロックイン撮像素子が有する3つのtapを利用することで同時に3つの視線方向をフィードバック制御し、移動する対象の方向、対象に対して少し右側の方向、対象に対して少し左側の方向、の3方向の画像を同時に計測できることも実証した。
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