研究課題
マテリアル知能の実現に向けた従来のアプローチにおける大きな課題として,(1)必要な材料及びデバイスを予め作り込んでおく必要があること,(2)その応用がANNの物理実装という工学的な枠組みに留まっていること,の2点が挙げられる.これを踏まえ本研究では,外部刺激を通じてその場形成可能な導電性ポリマーネットワークに着目し,発達過程における脳神経系の形態に学んだ3次元ネットワークのその場成長・学習を実験的に試みた脳の形態に学ぶアプローチとして,脳の発達過程においてみられる軸索誘導と呼ばれる脳神経ネットワークの形成過程に着目し,モノマー前駆体溶液中での電解重合成長により得られる導電性ポリマー細線の電極間配線を用いて,これに学んだ脳神経様ネットワークのその場形成を実験的に実現できないか検討した.その足掛かりとしてまず,マイクロ電極ギャップ間への1次元的なポリマー細線の液中配線を用いた電極間抵抗制御によるシナプス機能模倣を試みた.細線の配線本数や径,導電性といった物理化学的変化を外部電圧制御によって誘起し,長期増強及び短期可塑性といったシナプス機能を電極間抵抗変化により模倣し得ることを示した.続いて,脳内で無数の神経細胞が織りなす階層的な3次元近傍結合構造に学び,導電性ポリマー細線の複数電極間高次元配線を試みた.2次元平面及び3次元立体空間上へ複数の電極を液中配置し,これらへ印加する重合電圧を制御することで所望の電極間へのみ選択的に細線を配線する技術を初めて確立した.これにより,情報処理に必要なネットワークを軸索誘導のごとく一からその場形成し得ることを示した.また,ネットワーク形成後の電極へ外部電圧を印加することでゲート効果による細線の導電性変化が誘起され,電圧スパイク印加に伴う側抑制的な抵抗変化やリザバー計算等に利用可能な非線形応答が観測された
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
巻: 15 ページ: 107~118
10.1587/nolta.15.107
Advanced Functional Materials
巻: 33 ページ: 02300903
10.1002/adfm.202300903