研究実績の概要 |
本研究の目的は,希少データのための機械学習手法の開発とその実応用である.本研究は,(A) 特殊な分布を利用したBayesian Deep Neural Network (BDNN)の開発,(B) 計算グラフを利用した確率モデルのネットワーク埋め込み,(C) 希少データ解析への応用から構成される.各項目に関連する研究実績は以下の通りである. (A) 平均や分散に加え歪度や尖度を表現できるJohnson SU分布を利用したニューラルネットワークを提案し,生体信号識別へ応用した(Hayashi et al., IEEE Access, 2021).また,畳み込みニューラルネットワークにおいて広く用いられるプーリング層を学習可能にするための特殊なレイヤーを提案し,提案レイヤーを用いることでノイズに頑健な識別ができることを示した(Otsuzuki et al., MIRU, 2021). (B) ネットワーク展開に向けたベースとなる確率モデルを複数提案した.第一に,尺度混合確率モデルを提案した(Furui et al., Expert Systems with Applications, 2021).提案モデルでは,筋電信号の分散を確率変数として表すとともに,複数の尺度パラメータを持つ分布を混合して用いることで,分散の不確実性を表現できる.第二に,尺度混合確率モデルを隠れマルコフモデルの各状態における分布として用いることで時系列を表現できるように拡張した,隠れマルコフ尺度混合モデルを提案した(Furui et al., EMBC, 2021). (C) 上記(A)および(B)で提案したニューラルネットワークや確率モデルを,生体信号解析へ応用した.特に,筋電信号を用いた動作認識タスクおよび脳波信号を用いたてんかん発作検出タスクにおいて従来手法を上回る性能を示した.
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