研究実績の概要 |
本研究の目的は,希少データのための機械学習手法の開発とその実応用である.本研究は,(A) 特殊な分布を利用したBayesian Deep Neural Network (BDNN)の開発,(B) 確率モデルのNN埋め込み,(C) 希少データ解析への応用から構成される.最終年度は,当初の予定通り(B)を継続的に進めつつ,(C)に注力的に取り組んだ.各項目に関連する研究実績は以下の通りである. (B) 新しい確率モデルや確率モデルに基づくNNを提案した.第一に,深層生成モデルと識別器を相関させつつ学習する方法を提案し,識別器の信頼度較正へ応用した.この成果は機械学習分野のトップジャーナルへ掲載された(Hayashi, IEEE TNNLS, 2024).さらに,この方法に基づく疑似ラベル学習手法を提案し,半教師あり画像識別タスクへ応用した(Toba et al.,WCCI,2024).第二に,上肢の動作と筋電信号の関係を表す確率モデルを提案し,半教師あり逐次学習へ応用した(Yoneda and Furui, 2023). (C) 様々なドメインの実データ解析に取り組んだ.第一に,顔の動画像から曖昧な感情推定を行うためのデータ拡張技術を開発し,実環境における表情認識精度を向上させた(Kawamura et al., WACV, 2024).また,micro expressionと呼ばれるごく微小な表情の変化を検出・認識するアルゴリズムを提案した(Deng et al., FG, 2024).第三に,文書画像や情景画像のような実画像データにおいて,用いられる文字のフォントスタイルと文脈要素との関係を明らかにした(Yasukochi, ICDAR, 2024).第四に,筋電信号分類における識別器の選択と信頼度の正確性との関係を実験的に明らかにした(Furui, EMBC, 2023).
|