研究課題/領域番号 |
21H03558
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小林 透 長崎大学, 情報データ科学部, 教授 (90637399)
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研究分担者 |
今井 哲郎 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (10436173)
荒井 研一 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (60645290)
征矢野 清 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (80260735)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生け簀ロボット / IoT / センサプラットフォーム |
研究実績の概要 |
(課題1)浮沈式生け簀に適した給餌方法と多様なセンサの実装方法 海上ブイに制御コンピュータを、自動給餌装置にセンサ群と制御コンピュータ群を実装することで、浮沈式生け簀をフォグ化した。具体的には、独立させたセンサコネクタ基盤により物理的拡張性を確保した。これにより、センサの切り替えを容易にできるようにした。海水に接触させる必要があるセンサについては、必要時のみ海上ブイに設置されたエアタンクを利用し第2水面水位を調整することで、センサを接水させた上でのセンシングを可能とした。以上により、水中での給餌と多様なセンサの活用、およびその劣化防止を可能とする浮沈式生け簀向けフォグ構成機構を明らかにした。また、本機構を元にしたマルチセンサプラットフォームの試作を行った。本成果は、2つの国際会議で発表した。 (課題2)センサからの情報を基にしたインテリジェントな給餌方式 魚の生育に最適な給餌を行うためには、1)生け簀内の魚の様子を観測して空腹度を推定し、2)適切なタイミングで適量の給餌を行うことが必要である。1)に関する取り組みとして、本研究では、まず水中カメラにより魚の位置計測を行った上で群れとしての魚の挙動の解析(魚群行動解析)を行い、魚群行動を魚の空腹度に関するいくつかのパターンに分類する方式を考案した。具体的には、Optical Flowの時系列データから頻出パターンの検出を行うことによって、一定時間の魚群行動をパターンに分類する方式を考案した。 また、実際のデータ収集フィールドとして、長崎県水産試験センターの協力を取り付け、試験生け簀内のプリを実験対象とすることの合意を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(課題1)浮沈式生け簀に適した給餌方法と多様なセンサの実装方法に関して、実際に生け簀でデータ収集可能なマルチセンサプラットフォームの試作が予定通り完了したこと、及び、 (課題2)センサからの情報を基にしたインテリジェントな給餌方式に関して、基本方式の検討が完了し、実際の実装に向けた設計、開発ができる状況になったこと、さらに、実際のデータ取得フィールドとして、長崎県水産試験センターの協力を取り付け、試験生け簀内のプリを実験対象とすることの合意を得られたことから、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
(課題2)センサからの情報を基にしたインテリジェントな給餌方式に関して、基本方式をベースとした設計、実装を行い、実際のフィールドで、水中カメラにより魚の位置計測を行った上で群れとしての魚の挙動の解析(魚群行動解析)を行い、魚群行動を魚の空腹度に関するいくつかのパターンに分類できることを確認する。具体的には、Optical Flowの時系列データから頻出パターンの検出を行うことによって、一定時間の魚群行動をパターンに分類することを行う。次に、生け簀内の魚が分類した各魚群行動パターンを見せているタイミングで給餌を行い、その際の残餌量を計測することで、魚群行動パターンと摂餌行動の関係性を明らかにする。これによって、空腹度を定量的に推定する。なお魚群の空腹度の推定に関しては、魚群行動パターンだけでなく、水質センサなど他のセンサの値についても考慮する。 (課題3)通信障害が生じても自律的に給餌制御が可能な分散処理方式に関しては、計画通り、2023年度に実施する。
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