研究課題
本研究課題の目的は、由来の異なるヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)株から作成した胚様体に対する放射線被ばく影響および耐性を網羅的に定量する光計測システムを開発し、上記システムを用いて、ヒト初期胚に対する放射線被ばく影響の個人差を決定する要因を解明する。2023年度は、これら5種類のヒトiPS細胞株について、①上記差異を引き起こす遺伝子発現ネットワークを同定するためにトランスクリプトーム解析を行うこと、および、②同じ遺伝子背景を持つ(由来が同一人)iPS細胞株に放射線を照射し、放射線影響が異なる株をクローニングすること、とした。本研究では、顕微鏡上でラマン散乱スペクトル計測に用いた培養皿から細胞を収集し、トランスクリプトーム解析を行う。そこでまず、5種のヒトiPS細胞について、同日同時に放射線照射を行い、同一の計測(成長速度とラマン散乱スペクトル計測)を再度行った。これは、実験の再現性の確認、および、実験環境・状況を統一化することにもなる。放射線被ばく後の成長速度には、5種類間の差異が明らかに示され、ヒスパニック系女性の細胞から作成されたBXS0115株に最も強い被ばく耐性が確認された。ラマン散乱スペクトルにおいても、BXS0115株は最も小さな形状変化を示した。成長に対して放射線照射に影響を受けなかった細胞は、そもそも放射線照射に対する応答が小さいことを示している。一方で、細胞株間で共通する明確な変化も確認できなかった。予定通り、ラマン散乱計測後の細胞は回収され、トラスクリプトームデータは収集されている。上記データは、今後、引き続き解析していく。なお、上記作業中にクローニングを実施しており、樹立された細胞株クローンは今後の研究に使用していく予定である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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