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2022 年度 実績報告書

同位体解剖学的手法による含酸素揮発性有機化合物の発生源評価法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21H03610
研究機関東京工業大学

研究代表者

山田 桂太  東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (70323780)

研究分担者 中川 麻悠子  東京工業大学, 地球生命研究所, 特任助教 (20647664)
ジルベルト アレキシー  東京工業大学, 理学院, 准教授 (20726955)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード含酸素揮発性有機化合物 / 部位別炭素同位体計測 / 都市大気
研究実績の概要

都市域における含酸素揮発性有機化合物(OVOCs)の大気放出は、対流圏オゾンや二次有機エアロゾルの形成を引き起こすことで、気候システムおよび人の健康に多大な影響を及している。気候変動予測や健康影響対策のために、都市域におけるOVOCsの各発生源からの発生量を明らかにすることが求められているが、現状十分に定量化できていない。本研究では、従前の濃度および分子バルク安定同位体分析に加え、同位体解剖学的手法を新たに開発・適用し、さらにPMF解析に同位体データを導入することで、各発生源からのOVOCs発生量をより精緻に推定する方法の構築を目的としている。本研究では、大気濃度が高く、植物、人為発生量がともに高いことが知られるエタノール、アセトアルデヒド、酢酸、アセトンの4成分に着目している。都市域において、大気試料を経時的に採取し、同位体解剖学的手法およびPMF解析を適用し、その都市域における各発生源からの発生量の時間変動を明らかにする。さらに、時間変動の支配要因を解明・抽出し、都市におけるOVOCs発生量を一般化(関数化)する。具体的には、以下の項目を順次あるいは並列的に進めてきた。本年度の実績は以下の通りである。
1.OVOCs同位体解剖学的手法の開発;4種のOVOCsの部位別炭素同位体分析を確立した。エタノール、酢酸について、部位別水素同位体分析を確立した。大気試料の分析システムへの導入法を確立した。
2.大気試料の採取と同位体解剖学的手法への適用;実際都市大気に適用し、冬季の大気酢酸の部位別炭素・水素同位体分析に成功した。
3.PMF解析・同位体マスバランス解析による発生量推定;これまでに報告されている大気酢酸の同位体データを収集し、PMF解析のための基盤データベースを構築した。本研究で新たに得られた酢酸の部位別炭素・水素同位体値の同位体マスバランス解析から、予察的な起源解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、気候変動や人の健康にとって重要な働きを担う大気中含酸素揮発性有機分化合物(OVOCs)としてエタノール、アセトアルデヒド、酢酸、アセトンの4成分に着目し、1.新たな同位体解剖学的分析手法を構築し、2.都市大気に適用し、3.各OVOCsの各発生源割合を精緻に区別することを目的としている。進捗状況は以下の通りである。
1.OVOCs同位体解剖学的手法の開発;純粋かつ高濃度の試料を利用できる試薬を用いる場合、上記4種すべての部位別炭素同位体計測が可能になった。また、酢酸については部位別水素同位体計測法を確立した。大気試料の分析システムへの導入法を検討し、酢酸について大気レベル濃度試料の部位別炭素・水素同位体計測法を確立した。
2.大気試料の採取と同位体解剖学的手法への適用;都市域での大気試料採取を行い、確立した部位別炭素・水素同位体計測を大気試料酢酸に適用した。冬季における濃度および部位別同位体値を観測することができた。
3.PMF解析・同位体マスバランス解析による発生量推定;得られた大気酢酸の濃度データ、同位体データが散逸的であるためPMF解析には適用できなかったが、同位体マスバランス解析によって植物起源よりも人為起源の影響を強く受けておることが示唆された。

今後の研究の推進方策

本研究では、都市大気に含まれる4種の重要なOVOCsについて、各発生源からの寄与割合を精緻に見積もることを目標としている。これまで通り、以下の3項目を進めるが、来年度は2.都市大気への適用、3.各OVOCsの各発生源割合の精緻化に重点を置く。
1.OVOCs同位体解剖学的手法の開発;これまで、OVOCsの部位別炭素同位体計測を確立した。さらにエタノール、酢酸については部位別水素同位体計測法を確立した。来年度はアセトン、アセトアルデヒドの部位別水素同位体計測法の構築に取り組む。
2.大気試料の採取と同位体解剖学的手法への適用;幹線道路、工業地帯、森林からの影響が混在する都市域大気試料の濃度・分子バルク同位体、部位別炭素・水素同位体分析を行う。OVOCsの発生量に季節性が知られることから、年間を通じて経時的に大気試料採取および分析を行う。
3.PMF解析・同位体マスバランス解析による発生量推定;得られた大気濃度データ、同位体データおよび作成したデータベースを用いてPMF解析を行い、各発生源からの発生量を推定する。さらに、既存の発生源インベントリの評価を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Re-evaluation of the 13C isotope fractionation associated with lipids biosynthesis by position-specific isotope analysis of plant fatty acids2022

    • 著者名/発表者名
      Julien Maxime、Zhao Yu、Ma Ran、Zhou Youping、Nakagawa Mayuko、Yamada Keita、Yoshida Naohiro、Remaud Gerald S.、Gilbert Alexis
    • 雑誌名

      Organic Geochemistry

      巻: 174 ページ: 104516~104516

    • DOI

      10.1016/j.orggeochem.2022.104516

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Source analysis of dissolved methane in Chukchi Sea and Bering Strait during summer/autumn of 2012 and 20132022

    • 著者名/発表者名
      Kudo Kushi、Toyoda Sakae、Yamada Keita、Yoshida Naohiro、Sasano Daisuke、Kosugi Naohiro、Murata Akihiko、Uchida Hiroshi、Nishino Shigeto
    • 雑誌名

      Marine Chemistry

      巻: 243 ページ: 104119~104119

    • DOI

      10.1016/j.marchem.2022.104119

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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