研究課題/領域番号 |
21H03615
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
道川 武紘 東邦大学, 医学部, 講師 (80594853)
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研究分担者 |
西脇 祐司 東邦大学, 医学部, 教授 (40237764)
中田 雅彦 東邦大学, 医学部, 教授 (10294646)
諸隈 誠一 九州大学, 医学研究院, 教授 (50380639)
高見 昭憲 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 領域長 (00262030)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大気汚染 / 粒子 / 化学組成 / 妊娠 / 周産期 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに粒子状物質等大気汚染物質と周産期アウトカムとに疫学的関連性があることを報告してきたが、この関連性は因果関係にあるのか、メカニズムについて示すことはできていなかった。本研究は「妊娠初期を中心とする粒子状物質(成分、粒径)等への曝露が妊娠に関連したバイオマーカー変動に影響している」か検討し、大気汚染物質と周産期アウトカムとを結びつけている機序の解明を目指すものである。 まず、東邦大学大森キャンパス内に大気エアロゾル化学組成連続自動分析装置(ACSA-14)と気中パーティクルカウンタ(KC-01E)を設置し、粒子状物質の質量および成分濃度、粒径別個数濃度の連続モニタリングを実施した。我々が測定したPM2.5成分濃度と国設北の丸測定局(千代田区、東邦大から北に13km)での濃度とを比較し、炭素成分や硫酸、詳細イオンの日平均成分濃度の変動は概ね一致しており、強い相関が観察されることを報告した。この大気環境測定と平行して、東邦大学大森病院で出産予定の16歳以上単胎妊娠妊婦をリクルートする準備を進めて、倫理委員会の承認を得た上で対象者(妊婦)の登録を開始した。 平行して、これまで実施してきた日本産科婦人科学会の周産期登録データベースを利用した疫学統計解析を進めた。妊娠初期のPM2.5曝露と臍帯付着部位異常との関連性を観察することで、着床時期(妊娠1か月目)から大気汚染による母体への影響が出現している可能性を示した(Int J Epidemiol 2022)。また、PM2.5の周産期影響は特定成分に由来しているのかどうか、PM2.5成分濃度を曝露として出生体重および胎盤重量との関連性を検討した(J Occup Environ Med 2021)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東邦大学大森キャンパス内に大気エアロゾル化学組成連続自動分析装置(ACSA-14)と気中パーティクルカウンタ(KC-01E)を設置し、粒子状物質の質量および成分濃度、粒径別個数濃度の連続モニタリングを実施した。大気環境測定は順調で、1年間に蓄積したデータを整理して学会発表を行った。測定と平行して、東邦大学大森病院で出産予定の16歳以上単胎妊娠妊婦をリクルートする準備を進めて、倫理委員会の承認を得た上で対象者(妊婦)の登録を開始した。ただ、業者の都合によって、生体試料収集に不可欠な資材(ディープフリーザー)の納期が遅れてしまったために進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も東邦大学大森キャンパス内において粒子状物質の質量および成分濃度、粒径別個数濃度の連続モニタリングを継続する。 東邦大学大森病院で出産予定の16歳以上単胎妊娠妊婦のリクルートを継続し、妊娠13週目までの妊婦に研究説明を行い、同意が得られた方に生体試料の提供、質問票への回答など研究協力を依頼する。年間を通して妊婦約300名を登録し、妊婦健診のタイミングに合わせて提供してもらう血液や尿を用いてバイオマーカー測定(委託)を実施する計画である。
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