研究課題
2022年度に栽培したWRC系統69品種(各3個体)について,玄米,葉,稈の測定を終了した。同一の環境(水田)において育成した玄米であっても最も高いもので17.5 ± 1.1 ng/g),最も低いもので1.6 ± 0.2 ng/g と品種により10倍の水銀濃度差が確認された。葉や稈においても大きな濃度差が確認されたが,玄米の濃度との間に関係性は見られなかった。2021年度の玄米の結果と比べると,全体的に2022年度の玄米の方水銀濃度が高い傾向があったが,品種によっては逆転していた。2023年度に栽培した試料についても粉末化処理を進めており,今後測定を進め,3年間の測定結果を基にイネ品種と水銀取込みの関係について評価を行う予定である。2015年から継続使用している水銀添加土壌について,湛水開始1ヵ月ほどで土壌のメチル水銀生成が最大となり,その後,低下して一定となることを確認していたことから,2022年度に湛水時期を調整してイネを育成することで,土壌メチル水銀濃度をコントロールし,コメの水銀汚染を抑制できる可能性を確認した。本年度も再現性の確認のため,同様の実験をしたが,土壌メチル水銀の生成ピークは確認されず,育成期間の間,ほぼ一定のメチル水銀濃度であった。結果として,コメの水銀濃度は2021年度の結果より1/3ほどに低下していた。またコメの収穫量も大きく低下しており,何らかの土壌成分が不足したことにより,イネの育成だけでなく,土壌微生物叢にも影響を与えた結果,メチル水銀の生成を抑制したものと考えている。この2022年度および2023年度に採取した土壌試料は,土壌におけるメチル水銀生成を制御している因子を調べるために重要な試料となると考えており,今後,これら土壌の栄養塩等の化学分析を進めていく予定である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Molecular Liquids
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