研究課題/領域番号 |
21H03622
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 豊孝 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (30756474)
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研究分担者 |
浦野 恵美子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター, 主任研究員 (40794988)
青木 弘太郎 東邦大学, 医学部, 助教 (50821914)
中島 千絵 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 教授 (60435964)
臼井 優 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (60639540)
鈴木 仁人 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (70444073)
大久保 寅彦 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (90762196)
福田 昭 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (90827320)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 細菌 / 大腸菌 / 薬剤耐性菌 / フルオロキノロン耐性 / ST131 |
研究実績の概要 |
本研究では、フルオロキノロン耐性大腸菌ST131をモデルに、『院内』で問題となるAMR感染症を『院外(市中)』からのプローチでその伝播・定着様式を明らかにすることで、現行のAMR対策が報われない国際的なAMR問題の根本的解決に繋がる次世代型(院内-市中一体型)AMR対策に資する科学的知見を提供することが本研究の目的である。本目的達成の為、本年度は昨年度に引き続き、ST131の伝播状況と伝播様式および定着メカニズム(定着因子の同定)を行なった。各サンプル群(人、犬・猫、家畜、河川・下水)からのST131の収集を拡大した。これらの菌株からDNAを抽出し、抽出したDNAを用いてDNAライブラリーを作製した。作製したDNAライブラリーを次世代シークエンサーで解析し、各菌株のゲノム情報を得た。得られたゲノム配列を用いてアクセサリーゲノム解析を行なった。その結果、人-犬・猫-下水との間で互いに遺伝的相同性が高いST131を認めた。また、得られたST131の糞便環境中での生存に重要となる細菌因子をTransposon-directed sequencing(TraDIS)法にて網羅的に抽出した。本年度は糞便抽出液を作製し、本抽出液存在下での生存に重要なST131遺伝子の抽出をTraDIS法を用いて行なった。TraDIS結果、7遺伝子の抽出に成功した。本候補遺伝子の遺伝子特異的欠損株を作製し評価したところ、3遺伝子において当該遺伝子欠損株の糞便抽出液存在下での増殖は弱く(または増殖しなく)なった。以上からこれら3遺伝子は糞便内でのST131の生存に重要な細菌因子であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、大腸菌株の分離・収集を拡大し行った。また、アクセサリーゲノム解析およびTraDIS解析も順調に行い解析ができている。以上から、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
腸管上皮細胞を用いてTraDIS解析を行い、 ST131の腸管付着に重要な細菌因子の同定に努める。また、腸管模擬環境下でのST131の増殖・定着に必須な細菌因子を同定し、ST131の市中内での拡散・定着様式の解明に努める。
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