研究課題
工場、事業所から排出される低濃度の揮発性有機化合物(VOC)の処理の高効率化は環境保全の観点から喫緊の課題である。本研究では、炭素系材料とペロブスカイト型酸化物触媒の高いマイクロ波加熱特性を生かし、VOCの吸脱着と濃縮、酸化分解過程を速やかに進行させる高効率汚染物質処理プロセスを開発し、その有効性について実証した。マンガン担持量、前駆体、ゼオライトY担体の異なる触媒を含浸法により調製し、オゾンによるベンゼンの触媒酸化について調べた。これらの触媒は異なるマンガン酸化物構造を示し、さまざまなマンガン酸化物が混在しており、前駆体の選択と担持量が構造に影響を与える主な要因であることがわかった。担体としてアモルファスシリカを使用した場合とは異なり、反応速度と選択性はゼオライトY上のマンガン前駆体に依存しなかった。いずれの触媒も優れたベンゼン酸化活性を示した。反応後の触媒のXAFS解析から、マンガン酸化物の構造が変化したが、加熱処理により構造が戻り、触媒が再生されることがわかった。マイクロ波加熱により、Co-Cu-Mn系酸化物を室温から高温(反応温度:300℃程度)まで急速昇温することができるため、室温でVOCを吸着させた後、マイクロ波加熱によりVOCを昇温酸化することが可能であることを明らかにした。室温下でベンゼンを吸着させた後、マイクロ波照射のON-OFFによる触媒層の温度スイングがベンゼン含有ガスの処理に有効であることがわかった。このプロセスのVOC処理効率をさらに向上させるため、吸着剤であるゼオライト触媒との複合化を試みた結果、Mn/Yゼオライト触媒を前段に、Co0.2Cu0.8MnOxを後段にタンデム配置した触媒層を同様に装填し、マイクロ波照射のON-OFFを繰り返すことで、少量の電力で低濃度のベンゼンを酸化分解することができた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Applied Catalysis A: General
巻: 671 ページ: 119575~119575
10.1016/j.apcata.2024.119575
Applied Catalysis B: Environmental
巻: 323 ページ: 122099~122099
10.1016/j.apcatb.2022.122099
Dalton Transactions
巻: 52 ページ: 9525~9540
10.1039/d3dt01360j
Catalysis Letters
巻: 153 ページ: 3423~3432
10.1007/s10562-022-04233-7
Journal of Environmental Sciences
巻: 132 ページ: 1~11
10.1016/j.jes.2022.09.030
ChemCatChem
巻: 15 ページ: e202300723
10.1002/cctc.202300723
Journal of the Taiwan Institute of Chemical Engineers
巻: - ページ: 105041~105041
10.1016/j.jtice.2023.105041