研究課題/領域番号 |
21H03695
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
後藤 寛 横浜市立大学, 国際教養学部(都市学系), 准教授 (40333710)
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研究分担者 |
加藤 博 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (10134636)
三沢 伸生 東洋大学, 社会学部, 教授 (80328640)
熊倉 和歌子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80613570)
上山 一 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (80626226)
勝沼 聡 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90593202)
黒田 賢治 国立民族学博物館, 現代中東地域研究国立民族学博物館拠点, 特任助教 (00725161)
臼杵 陽 日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エジプト / 戦間期 / スエズ運河 / 鉄道 / 横浜正金銀行 / アレキサンドリア / カイロ / 水運 |
研究実績の概要 |
月1回のペースでワークショップを開き課題を明確化し幅広いバックボーンをもつメンバー間での情報共有を優先した。そこで挙げられた視点それぞれについてデータ収集を行い、それぞれ統計データによる裏づけとデジタル地図の作成によるビジュアル化、それを素材とした議論につなげるサイクルでの情報の蓄積を進め、その結果①戦間期エジプトにおける域内交通として内陸水運の季節性波動の実態および鉄道網の拡張と駅ごとの利用を踏まえたデルタ内の経済発展状況の地域差の実態解明。②エジプト沿岸各港出入港船舶の所属(旗別)船舶数、船舶規模等のデータの経年分析を進めている。 日本との関係については③日本とエジプトの文化交流へのアプローチとして当時使われた絵はがきの収集分析を通して、ひとつは絵はがきのモチーフとして使われる観光地、エキゾチズムの対象としてイメージされるエジプトの実態を理解すると同時に、その宛名から当時の日本におけるよう後者と関係する社会階層の居住地、関係地の特徴を明らかにした。 以上のように調査の焦点を整理した上で現地調査(エジプト、カイロ、アレクサンドリア、ポートサイード、イスマイリアの政府機関、図書館等)を実施する一方、東大経済学部図書館資料室にて整理が進められている横浜正金銀行関連史料はデジタル化されていても未活用のものが多く、未公開の部分も多数あることから閉架資料のマイクロフィルム撮影を次子の上デジタル化作業を進めている。これら史資料についてはプロジェクト期間内はクラウド上でメンバー内での共有として分析を進め、終了後は公開して広く活用可能にする方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年冬までコロナ禍のため調査目的でのエジプト入国ができず、部分的には現地在住研究者に代理調査を依頼したものの進捗が大幅に遅れた。結局2023年夏に大規模な現地調査を実施し当初から想定していたデータを収集することができたが、そこで収集したデータのデジタル化処理、分析検証、メンバー間での議論など順を追って進める予定だったスケジュールが押していき、最終目標の達成に向けて時間不足となっている。 なおその間に代替策として国内外の未整理史資料の調査収集を行い、それらから得られた情報の整理およびメンバー間の活発な議論から、当初計画で想定していなかった成果もある。
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今後の研究の推進方策 |
日本エジプト貿易の多様な側面がみえてきたことから、アレクサンドリアよりはスエズ運河の存在にウエイトを置いた分析を進めることとし、現地で収集した史資料に国内外で収集した資料、とくに東大経済学部資料室で入手した未整理史料の解読・分析に力を入れて大戦間期のエジプトをめぐる日本側の動向を横浜正金銀行の動向をその組織の理解まで含め重点的に解明する計画である。
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