研究課題/領域番号 |
21H03701
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
萩尾 生 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 教授 (10508419)
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研究分担者 |
小島 祥美 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 准教授 (10449473)
友常 勉 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (20513261)
谷口 龍子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 准教授 (20570659)
田邊 佳美 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (40869880)
古橋 綾 岩手大学, 教育学部, 准教授 (60868818)
布川 あゆみ 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 准教授 (80799114)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多文化共生 / 多言語主義 / 多文化主義 / 社会統合 / 社会包摂 / 差別と共生 / 移民政策 / シティズンシップ |
研究実績の概要 |
2年目の2022年度には、本研究が当初掲げていた5つの研究目的のうち、(1)日本の「多文化共生」概念の国際的位置づけ、(2)研究対象国における「共生社会」を目指す法制度枠組みと相互比較、(3)教育/労働現場の意識と実態の3つに焦点を定め、以下の活動を実施した。 (1)については、国際比較研究を掲げる本研究課題の比較軸を再考すべく、現代日本における「共生」思想の系譜とその位置づけについて、研究分担者の友常勉による報告会を開き、議論を行った。(2)については、移民政策と市民権に造詣の深い名城大学法学部の近藤敦教授を招き、日本の「多文化共生」政策を法学の観点から解釈してもらい、本研究メンバーとの議論を行った。これらの議論から推察されたことは、現代日本の「共生」思想からは、言語的少数者、先住民、移民といった観点がともすれば見落とされがちであったことと、「共生」の主体についての捉え方が、日本と西欧では異なるのではないか、ということであるが、今後引き続き議論していく必要がある。 (3)については、国内の臨地調査として、友常が九州の被差別部落における聴取と文献資料調査を、研究分担者の小島祥美が外国に繋がる小学生の言語習得の実態調査を継続遂行し、前者からは、国内の差別が海外でも継続する事例の意味づけやキリスト教と被差別民の関係についての問題提起が、後者からは自治体間格差が存在するなかで、言語習得を目指した授業の在り方と公立高校入試制度の在り方についての問題提起がなされた。国外の臨地調査については、ドイツ、フランス、スペイン、韓国、台湾において、教育と移民支援の現場における聴取を年度後半に実施することができたので、次年度当初に中間報告を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ肺炎感染症パンデミックの発生に伴い、とりわけ国外での臨地調査の遂行が困難になったことに起因する。年度後半に海外への渡航制限が緩和されるなか、外国での臨地調査を徐々に再開できるようになったが、当初予定していた調査者や調査組織にさまざまな変更が生じていたため、調査対象を変更するなど、当初の調査計画を大幅に見直さざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最重要目的である「教育/労働現場における『共生』に対する意識と実態」を引き続き解明すべく、パンデミックによってはからずも露呈された共生理念に反する差別や排除といった現象に留意しつつ、とりわけ海外での臨地調査の再建に向けて努力する。
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