研究課題/領域番号 |
21H03711
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
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研究分担者 |
佐々木 大輔 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (30784889)
前川 美湖 公益財団法人笹川平和財団, 海洋政策研究所 海洋政策研究部, 主任研究員 (80625210)
中山 幹康 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団, 研究企画部, 研究員(専務理事) (10217945)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小島嶼国 / 移民 / COVID-19 / 尊厳ある移住 / マーシャル |
研究実績の概要 |
2022年度は各国がパンデミック対策としての渡航措置を緩和する中、マーシャルやモルディブなどの小島嶼国は引き続き厳しい渡航制限を設けていた。そのために、現地調査が行えなかったので、渡航規制下の小島嶼国で発生した社会現象や米国に移住したマーシャル人の状況について、関係者とオンラインによるヒアリングを行い以下を明らかにした。 パンデミック対策として多くの外国人労働者や専門家が小島嶼国から帰国したため、教育、医療、行政などの高度人材を必要とする分野で立ち遅れが生じた。リモートワーク環境を整備・維持することは、緊急事態でない場合でも、外国人労働者や専門家の突然の不在によって生じるギャップを埋める有望な方法であることが示された。 米国在住のマーシャル人のほぼ全員が、パンデミックからの安全を感じられず、生活に大きな影響を及んでいた。医療における差別などの既存の問題が、パンデミックによって悪化していたことが明らかになった。さらに、失業やパンデミックに関する文書がマーシャル語に翻訳されていないこと、有給休暇がないこと、多世代が住む住宅がないことなどが、パンデミック下のマーシャル人コミュニティメンバーの状況を悪化させていた。 あわせて、文献調査や議論を米国の研究協力者と行い、気候変動で移転を余儀なくされた人々が「尊厳ある移住」を達成するために必要な以下の6つの枠組みを提示することができた。 ①いつ出発し、いつ戻るかを選択できる移動の自由。②レイプや性的搾取などの性的暴力、人身売買、奴隷制、強制労働、恣意的で虐待的な拘束から解放される安全の確保。③サービス、法的保護へのアクセスなど、同等の価値を持つ人間として扱われる平等の権利。④労働や住居などの生活水準。⑤医療、教育、法的サービスなどのサービスへのアクセス。⑥言論、宗教、集会、政治参加の自由などの市民的・政治的権利。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の蔓延は先進国では収まりつつあったが、調査対象である小島嶼国は感染症に脆弱なため、長期にわたって外国人の入国を厳しく制限していた。このために現地調査や対面での議論が行えず、オンラインに代替せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象国であるマーシャル及びモルディブの入国規制緩和を待ち、現地調査を再開する。
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