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2021 年度 実績報告書

大面積位置検出型ガンマ線マイクロカロリメータの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H03738
研究機関九州大学

研究代表者

伊豫本 直子  九州大学, 工学研究院, 准教授 (40508173)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード放射線 / 超伝導
研究実績の概要

(1) 単ピクセル型TES型マイクロカロリメータの開発
従来より低い動作温度(転移温度102 mK)のTES(Transition-Edge Sensor)温度計素子に1 mm x 1 mm x 1 mmのビスマスをガンマ線吸収体として取り付けた単ピクセル型TES型マイクロカロリメータにコバルト60からのガンマ線を照射して性能評価を行なった。信号応答は線形で、コバルト60からの1.17 MeVと1.33 MeVのガンマ線に対するエネルギー分解能はそれぞれ0.83 keVと0.95 keVであったが、雑音信号比から推定されるエネルギー分解能として 0.50 keVが得られたため、信号波形のガンマ線入射位置依存性や熱浴温度の揺らぎの影響を改善することができれば、この素子でMeV領域のガンマ線に対しても0.50 keV程度のエネルギー分解能が実現できる見込みがあると考えられる。

(2) シミュレータの開発
従来の1次元の位置検出型TES型マイクロカロリメータ用のシミュレータでは吸収体を熱容量を直列に接続したものとして簡略化して信号波形や雑音の周波数分布をシミュレーションしているが、本年度は熱容量を2次元に分布させることで2次元の位置検出型TES型マイクロカロリメータ用のシミュレーションを行なった。また、これと並行して開発している有限要素法ソフトウェアを使用したシミュレータについても改良を施し、複雑な形状を持つTES型マイクロカロリメータの信号波形のシミュレーションに適用した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

単ピクセル型TES型マイクロカロリメータの信号雑音比から推定されるエネルギー分解能として 0.50 keVが得られた。またこの結果は比較的振動が大きい冷凍機で得られたものであり、振動対策を施した冷凍機で動作させることができればさらに改善できる見込みである。

今後の研究の推進方策

今後は20 mm × 20 mm × 1 mmのビスマスをガンマ線吸収体として2次元の位置検出型TES型マイクロカロリメータを製作して位置検出実験を行う。またこれまでに開発した位置検出型TES型マイクロカロリメータのシミュレータの改良を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Simulation of TES X-ray Microcalorimeters Designed for 14.4 keV Solar Axion Search2022

    • 著者名/発表者名
      Mori Shohei、Nishida Y.、Iyomoto N.、Yagi Y.、Konno R.、Hayashi T.、Tanaka K.、Yamasaki N. Y.、Mitsuda K.、Sato R.、Saito M.、Homma T.
    • 雑誌名

      Journal of Low Temperature Physics

      巻: 209 ページ: 518~524

    • DOI

      10.1007/s10909-022-02902-w

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Thermal Conductance of Thick-Membrane TES Microcalorimeters for Several-MeV Gamma Rays2022

    • 著者名/発表者名
      Tsuruta Tetsuya、Hamamura Yukino、Iyomoto Naoko、Nakamura Yunosuke、Kawaguchi Shotaro、Hayashi Tasuku、Yagi Yuta、Yamasaki Noriko、Mitsuda Kazuhisa
    • 雑誌名

      Journal of Low Temperature Physics

      巻: 209 ページ: 449~456

    • DOI

      10.1007/s10909-022-02776-y

    • 査読あり
  • [学会発表] Gamma-Ray Position-Sensitive Transition-Edge-Sensor Microcalorimeters With a Bismuth Absorber2021

    • 著者名/発表者名
      Naoko Iyomoto, Yoshiki Nishida, Tetsuya Tsuruta, Yukino Hamamura, Shoutaro Kawaguchi, Yuunosuke Nakamura, Tasuku Hayashi, Yuta Yagi, Noriko Yamasaki, Kazuhisa Mitsuda, Keisuke Maehata
    • 学会等名
      19th international workshop on Low Temperature Detectors (LTD19)
    • 国際学会
  • [学会発表] Finite-Element Simulation of Transition-Edge Sensor Microcalorimeters for Gamma rays2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshiki Nishida, Naoko Iyomoto, Tetsuya Tsuruta, Yukino Hamamura, Shoutaro Kawaguchi, Yuunosuke Nakamura, Shohei. Mori, Shunsuke. Matsuda, Keisuke. Nakano, Keisuke Maehata
    • 学会等名
      19th international workshop on Low Temperature Detectors (LTD19)
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of Transition Edge Sensor Microcalorimeter for Several-MeV Gamma Rays2021

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Tsuruta, Yukino Hamamura, Naoko Iyomoto, Yuunosuke Nakamura, Shoutaro Kawaguchi, Tasuku Hayashi, Yuta Yagi, Noriko Yamasaki, Kazuhisa Mitsuda
    • 学会等名
      19th international workshop on Low Temperature Detectors (LTD19)
    • 国際学会
  • [学会発表] ガンマ線検出用二次元位置検出型TES 型マイクロカロリメータのシミュレータの開発2021

    • 著者名/発表者名
      河口 昌太郎, 伊豫本 直子, 鶴田 哲也, 中村 悠之介, 仲野 圭佑, 松田 隼輔, 森 匠平, 西田 佳樹, 濱村 雪乃, 前畑 京介
    • 学会等名
      第82回応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] ガンマ線検出用TES 型マイクロカロリメータの電気的・熱的特性の評価2021

    • 著者名/発表者名
      中村 悠之介、伊豫本 直子、鶴田 哲也、河口 昌太郎、森 匠平、仲野 圭祐、松田 隼輔、前畑 京介、山崎 典子、林 佑、八木 雄大、田中 圭太、宮川 陸太、満田 和久
    • 学会等名
      第82回応用物理学会秋季学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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