研究課題/領域番号 |
21H03750
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
ヂン タンフン 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主任研究員 (20744808)
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研究分担者 |
長谷川 登 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主幹研究員 (50360409)
錦野 将元 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子ビーム科学部門, 研究統括 (70370450)
石野 雅彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 上席研究員 (80360410)
米谷 佳晃 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主幹研究員 (80399419)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | X線・EUV超微細加工 / プラズマX線レーザー / EUV高次高調波発生 / 高強度レーザー |
研究実績の概要 |
本研究では,X線領域の高強度・超短パルスレーザー光の照射により固体物質に生じる高温・高密度な電子の局在を利用し,超微細構造を直接加工・造形する技術の開発を行う.そのために,設定した2つの具体的な課題【高機能光源開発】と【加工物理モデル構築】をFY2021から同時に開始し実施した.以下に具体的な研究内容と成果を記す. 【高機能光源開発】では,プラズマX線レーザーの励起源として,繰返し周波数10Hz,30TW級のチタンサファイアレーザーシステム(プラットホームレーザー)の構築を進めた.プラットホームレーザー装置ではダブルCPA方式を採用し,2段目CPAの前置増幅器までは繰返し周波数100Hz,出力~40mJまで達成した.主増幅器では励起レーザーのQスイッチYAGレーザーの繰返し周波数に合わせた10Hzで動作し,出力~1.3Jまで増幅できる見込みである.プラズマX線レーザーのシード光として,波長13.5 nm付近の極端紫外(EUV)高次高調波(HHG)を高品質に発生させることに成功した.この結果についてオーストリア,スペインの研究協力者と議論して,次年度前半までに著名な雑誌に論文を投稿することに合意した. 【加工理物モデル構築】では,開発しているEUV-HHGを用いて加工・造形装置の構築を開始した.また,加工試験を実施するために,EUVの集光系に球面鏡とトロイダル鏡を用いた.射入射角~8°で曲率半径R=500mmの球面鏡によるEUV-HHGを集光したライン幅は2μm以下を達成した.さらに,このEUV加工・造形装置を用いて,レジスト材料の感度評価試験を実施した.この成果は,EUVリソグラフィーに用いる次世代レジスト材料の開発に寄与するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FY2021では,新型コロナウイルス感染症の影響により,実験の資材の入手難や納期遅延などが発生したが,全体の研究計画を見直して,次年度で実施予定である装置設計・構築や数値解析などの項目を前倒しに実施したため,研究目的の達成に支障がないと判断した.それ以外の研究開発は当初の計画通り順調に進んでおり,論文投稿に値するデータが出始めている.
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今後の研究の推進方策 |
産業用超微細加工・造形装置の開発には,高い生産性の実現が必要不可欠である.そのため,加工用レーザー光源の高出力化・高機能化が強く要求される.本研究では,加工用光源がプラズマX線レーザーである.【高機能光源開発】では,プラズマX線レーザーのより高い出力を得るために,励起源であるプラットホームレーザーの出力増強と性能向上が必要となる.また,より質の高いビームを得るには,高品質なシード光を発生させることが必須である.次年度ではこれらの高度化に向けた準備、並びに高度化開発をさらに加速させる. 【加工理物モデルの構築】では,今後の応用展開を見据え,小型X線・EUVレーザーによる微細加工造形技術の開発が必須である.このようなX線・EUVレーザーを高い出力が比較的に得られやすい可視・赤外域のレーザーと組み合わせて利用できれば,生産性の高い微細加工・造形装置の実用はより現実に近づける.本研究では,EUV・IRレーザー2色照射方式による微細加工・造形装置を構築すると同時に,その加工の物理機構の解明を進める.
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