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2022 年度 実績報告書

日本法情報の国際的発信:ハイブリッド機械翻訳と法令LODによる法令改正への対応

研究課題

研究課題/領域番号 21H03772
研究機関名古屋大学

研究代表者

外山 勝彦  名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (70217561)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード法情報処理 / 法令翻訳 / 法制執務 / リーガルテック / 機械翻訳 / 自然言語処理
研究実績の概要

本研究は,社会のグローバル化に伴い必要な日本法に関する情報を即時に,かつ国際的に発信するために,法令改正に伴う英訳法令の修正を支援する機械翻訳技術の開発と計算機環境の構築を目的とする.特に,法令の改正部分に対する英訳だけを修正し,非改正部分に対する英訳は可能な限り旧訳を用いる機械翻訳手法の開発と,日英対訳や英訳だけの修正前後,改正前後,効力の上位下位など法令間の種々の関係の記述手法の設計および日英対訳法令リンクト・データベースの構築を推進する.
本年度は主に次の成果を得た.
① 新旧対照・日英対訳条文コーパスの増強: 機械翻訳用学習データとして,法務省JLT最新改正バージョンの原文(旧原文)とその訳文(旧訳文),総務省e-Gov現行バージョンの原文(新原文)をもとに,新原文の訳文(新訳文)を人手で作成し,新旧原文,新旧訳文からなる四つ組法令文1,477組を新たに作成し,合計4,498組に増強した.
② 差分機械翻訳技術の開発・評価: 新訳文における次単語の出力時に旧訳文の次単語と比較し,尤度が高い方を選択する方法(Copiable Transformer)を開発した.①の新旧対照・日英対訳条文コーパスを用いて機械翻訳実験を行った結果,BLUE値は60.9であり,また,昨年度に設計した訳文修正の極小性評価指標ISDITの値は51.6であった.これらはTransformerのみを用いた従来手法のBLUE値28.8,ISDIT値14.31を大幅に凌駕した.なお,学習コーパスのサイズの増加につれて,性能が向上することも確認した.
③ 日英対訳法令LODの設計: RDFスキーマのうち,特に,法令の改正前後の関係の表現手法について基本設計を行った.これは以前に設計した法令沿革リンクト・データベースのRDFスキーマを法令単位から項単位へ拡張したものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新旧対照・日英対訳条文コーパス(四つ組法令文コーパス)を学習データとしたCopiable Transformerの性能は期待どおりであった.
また,法令の改正前後の間を項単位で関係づける方法を設計したことにより,法令沿革リンクト・データベースの構築の基礎を固めることができた.

今後の研究の推進方策

約40万文からなる大規模な日英対訳法令コーパスを学習データとし,一昨年度までに開発したハイブリッド機械翻訳手法(テンプレート利用の統計的機械翻訳(TM-SMT)とニューラル機械翻訳(Transformer)を組み合わせた手法)のBLUE値は83.0,ISDIT値は74.1であり,今年度に開発したCopiable Transformerの性能は,それにまだ及ばない.機械的に生成する手法の検討も含めて新旧対照・日英対訳条文コーパスのいっそうの増強を行い,翻訳性能の向上を図る.一方で,別の翻訳手法についても検討する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 近代日本の法律・勅令を踏まえた法令標準XMLスキーマの提案2022

    • 著者名/発表者名
      佐野 智也、外山 勝彦、増田 知子
    • 雑誌名

      デジタルアーカイブ学会誌

      巻: 6 ページ: s226~s229

    • DOI

      10.24506/jsda.6.s3_s226

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Differential-aware Transformer for Partially Amended Sentence Translation2022

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Yamakoshi, Yasuhiro Ogawa, Katsuhiko Toyama
    • 学会等名
      16th Int. Workshop on Juris-informatics
    • 国際学会
  • [学会発表] 法令間の関係を利用したモビリティ関連法令検索に関する一考察2022

    • 著者名/発表者名
      駒水孝裕,外山勝彦,河口信夫,佐野智也
    • 学会等名
      人工知能学会セマンティックウェブとオントロジー研究会

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公開日: 2023-12-25  

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