研究課題
本研究では、主体感の探索と利用の行動、および神経メカニズムに関する仮説を検証することを目的としている。特に、人間が環境から主体感を能動的に獲得していく過程を明らかにすることに注目した。令和5年度では、主体感の判断および制御の検出課題を用いて、ヒトの行動データを収集し、機械学習の手法で解析を行った。実験参加者がマウスを動かして、画面上に動くドットは自分で制御できるものなのかを判断する課題、および画面上複数動くドットから自分が制御できるドットを選ぶ課題を行った。マウスの運動は、1秒に60回記録される2次元の軌跡である。このような高次元の運動情報から、主体感の探索と利用に関連する特徴を抽出することはこれまでに困難であった。そこで、本研究は機械学習(ディープラーニング)の手法を用いて、マウスの動きをモデルに学習させ、モデルの隠れ層の情報を用いて、実験参加者の行動空間の特徴を把握しようとした。その結果、制御のレベル(良さ)に応じて、運動空間の多様性が変わることが明らかになった。本研究の成果はプリプリントとして公表されており、現在投稿中である。また、令和5年度では、他者または自分の顔を制御できる場合、ヒトの表情と頭の動きに関する運動に対して解析を行った。自分の顔を制御している場合、この顔は制御できるという信念を持つが、他者の顔を制御している場合、このような制御の信念を持たない。制御の信念を持つことは、主体感の利用行動に繋がり、予測誤差に対する敏感度が高まると考えられる。一方、制御の信念を持たない場合は、主体感の探索につながると考えられる。行動に対する解析の結果はこの仮説を支持し、事前信念によって主体感のモードが決まれ、行動が影響されることが実証された。本研究の成果はプリプリントとして公表されており、現在投稿中である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Trends in Cognitive Sciences
巻: - ページ: -
10.1016/j.tics.2024.03.002
Journal of Autism and Developmental Disorders
巻: 2023 ページ: -
10.1007/s10803-023-06144-x
Cognition
巻: 241 ページ: 105622
10.1016/j.cognition.2023.105622
基礎心理学研究
巻: 42 ページ: 53-64
10.14947/psychono.42.7
Frontiers in Neuroscience
巻: 17 ページ: 1094658
10.3389/fnins.2023.1094658
Scientific Reports
巻: 13 ページ: 20826
10.1038/s41598-023-48101-9