研究課題/領域番号 |
21H03782
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
寺田 和憲 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30345798)
|
研究分担者 |
山田 誠二 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (50220380)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 感情 / アフェクティブコンピューティング / 心の理論 / 利害対立 / ゲーム理論 |
研究実績の概要 |
我々は,人の利害対立の解消のための認知プロセスを,1) 他者の心的状態,特に意図(目的)や選好を推定し,2) 推定した選好に基づいて多目的最適化を行うことと考える.本研究では,上記の認知プロセスの詳細を計算モデルとして明らかにするために,人を対象とした実験を行い,データを取得し,モデルを検証する.2021年度の研究成果は以下のようにまとめられる.まず,直接観察可能な表情から心的状態を推測する能力の向上と,Win-Win解を計算する能力を向上させることを目的とし,複数論点最後通牒ゲームにおいて,相手の価値体系とその感情的評価過程を可視化したトレーニングインタフェースを開発した.実験の結果,心的状態を可視化したトレーニングインタフェースの使用が心的状態を推測する能力とWin-Win解を計算する能力の向上に寄与する可能性をが示された.またゲーム状況において,人が相手を心的状態を有する合理的エージェントとしてモデル化し,相手の心的状態を推論した上で新規状況における相手の行動予測と意思決定を行うかどうかを検証した.実験の結果,実験参加者は行動頻度がモデルとして利用できる場合には頻度情報によって相手の行動を予測し,行動頻度が利用できない場合には心的状態を推測した上で行動予測し,一貫性のある協力的行動を生成することが分かった.さらに,デザートサバイバルタスクを用いて,産業用ロボットの感情表出が人の意思決定に与える影響を調査した.実験の結果,ロボットが感情表出をすると合意に達するまでの時間が長くなることが分かった.このことは,協力的意思決定課題においては感情表出が必ずしも有効でないことを示唆する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの実験を行い,利害対立における,心的状態推測と多目的最適化の認知プロセスが明らかになりつつあるため.なお3つの実験結果は学会(全国大会)で発表予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
現在の方向性をそのまま発展させ,様々な課題を用いて多面的に認知プロセスを明らかにしていく.研究結果については,ハイインパクトな国際会議やジャーナルに投稿する.
|