研究実績の概要 |
Macromolecular Tissue Volume法(Mezer et al., 2013)による定量MRI計測を用いて、外側膝状体の下位領域を構造データのみから同定する研究を進めた。具体的には、test-retest reliabilityの分析、inter-rater consistencyの分析、部分容積効果の影響を評価する分析を進めることで、得られた外側膝状体下位領域分析結果の信頼性および妥当性を示した。さらに、定量MRI計測値が大脳基底核における既知の解剖学的な違いを検出できていることを示すことで、計測データの妥当性を示した。加えて機能的MRIデータと定量MRIデータを比較することで、定量MRIで求められた外側膝状体の下位領域は、先行する侵襲的な電気生理学研究の知見と一致した刺激選択性を示すことも明らかになった。この一連の成果は、NeuroImage誌に原著論文として掲載されるに至った(Oishi et al., 2023)。
また機能的MRIと拡散強調MRIの統合的な分析により初期視覚系の脳領域間の構造共変性および遺伝率を検証した結果について、Journal of Neuroscience誌に原著論文として発表した(Miyata et al., 2022)。
このほか、機能的MRIと構造MRIデータの統合的分析の性能を畳み込みニューラルネットワークを用いて向上させる試みを開始し、国際会議での発表を行なった(Benson et al., 2022 Vision Sciences Society)。一連の研究成果について、国内の研究会(第71回脳の医学・生物学研究会)で招待講演を行なった。国際会議Organization for Human Brain Mappingにおいて神経解剖学と脳イメージングの融合に関する教育コースを主催し、自身の外側膝状体に関する研究成果を含む脳の構造・機能連関についての教育講演を行なった(Takemura, 2022 Organization for Human Brain Mapping)。
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